秋華賞で牝馬三冠を狙うリバティアイランドは本当に弱点がないのか 死角を探ってみた (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 専門紙記者がそう見立てる理由として、まずは馬体の成長を挙げる。オークス当時466kgだった馬体は、放牧先から帰ってきた時には500kgを優に超えていたそうだ。

 プラス40kg以上の馬体増だが、その大部分はいわゆる成長分。"太めが残った"感はまったくなく、専門紙記者曰く「馬体に一層の幅が出た」印象だという。

 しかも、精神面でも落ちつきが出ていて、春先にはうるさいところがあった馬が、そのうるささが鳴りを潜めて、おとなしくなっているとか。専門紙記者が言う。

「2歳の頃は、ええとこのお嬢さんという感じで、わがままというか、じゃじゃ馬っぽいところもありましたが、桜花賞の頃からだんだんと大人びてきて、それがひと夏越して、馬体的にも、ふだんのしぐさにおいても、すっかり"大人のオンナ"という感じになりました」

 このひと夏を超えての馬体増によって、「さらにパワーアップした」と思わせたのは1週前の追い切りだ。

 栗東のCWコースで行なわれた追い切りで、リバティアイランドは6ハロン81秒5という自己ベストを叩き出した。それも、ラスト1ハロンを11秒0という鋭いキレ味でまとめてのものだ。

 もともと素質が一枚も二枚も上という状況にあって、これほどの成長と目覚ましいまでの好調ぶりをアピールされては、秋華賞どうこうという興味を超えて、世界一のイクイノックスと比べたくなるのもよくわかる。

「イクイノックスより強い」かどうかはともかく、「どっちが強いか」という比較対象になりつつあるのは間違いないだろう。

 こうなると、秋華賞のライバル陣営も、表面上の反応はどうあれ、本音はすっかり"白旗気分"。「焦点は2着取りに絞られた」という声が大半である。

 まさに牝馬三冠達成は確定的。重箱の隅をあれこれつついても、秋華賞のリバティアイランドに"死角"というものは見つからない。

 オークスからのぶっつけローテにしても、心配の種というより、今やむしろトレンド。アーモンドアイ、デアリングタクトといった最近の三冠牝馬も、このローテーションで結果を出している。その意味では、オークスからの直行というのは、三冠を狙う牝馬にとって"王道ローテ"と言える。

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