激戦の有馬記念。中・長距離戦線に絶対的な存在なき今、穴党記者が推す渾身の一頭とは?

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 中央競馬の一年の総決算となるGI有馬記念(中山・芝2500m)が12月25日に行なわれる。今年も「グランプリ」という呼称にふさわしく、GI馬7頭をはじめ、豪華メンバーが集結した。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は6勝、2着1回、3着1回と、かなり安定した成績を残している。この一年、GIでは1番人気がなかなか結果を残すことができなかったが、こと有馬記念においては、信頼してもいいかもしれない。

 ただ一方で、2015年のゴールドシップや2019年のアーモンドアイなど、断然人気の馬が馬群に沈んでいることも事実。また、8番人気以下の伏兵の台頭が頻繁に見られ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。穴党にも十分に出番のある一戦と言える。

 はたして、今年はどうか。日刊スポーツの木南友輔記者はまず、馬券検討においては重要なポイントがひとつあるという。

「枠順です。この秋はコースこそ違いますが、GIジャパンC(11月27日/東京・芝2400m)、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)、GI朝日杯フューチュリティステークス(12月18日/阪神・芝1600m)と、5枠以内の内目でレースを運んだ馬が勝っています。そうしたことを踏まえると、そもそも内枠有利の中山・芝2500mという舞台においては、枠順が勝敗を大きく左右することになるのではないかと思っています。

 実際、先週中山で取材していて、内側の馬場の傷みは徐々に目立ってきていたのですが、日曜日は12レース中、5枠以内の馬が11レースで勝利を飾っています。そういった状況は、今週も大きく変わらないと見ています」

 そのうえで、木南記者は現在の日本競馬界の中・長距離戦線を分析し、波乱ムードを匂わせる。

「凱旋門賞組が不在だったとはいえ、GI初挑戦のヴェラアズール(牡5歳)がジャパンCを勝ったこと。さらには、GI天皇賞・秋(10月30日/東京・芝2000m)の好走組や皐月賞馬のジオグリフが海外GIの香港Cで完敗したことを鑑みると、今の中距離路線には"絶対的な存在はいない"と考えてもいいのではないでしょうか。

 ファン投票の1位のタイトルホルダー(牡4歳)や、イクイノックス(牡3歳)が中心であることに異論はありませんが、12月22日に行なわれた公開枠順抽選会で、イクイノックスは5枠9番となりましたが、タイトルホルダーは7枠13番とやや外目に。となると、信頼の軸馬ではなくなると見ています」

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