菊花賞は血統から長距離適性を分析。今後の急成長も期待できる2頭は?

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 10月24日、阪神競馬場でGⅠ菊花賞(芝3000m)が行なわれる。

 このレースは通常は京都で行なわれるが、京都競馬場改修の影響もあり、今年は1979年以来42年ぶり2回目となる阪神競馬場で開催される。ちなみに、1979年のレースは5番人気のハシハーミットが優勝。11番人気のハシクランツが2着に入り、1番人気の皐月賞馬ビンゴガルーは3着に敗れている。ただ、阪神競馬場はその後、大規模なコース改修が行なわれているため、あまり参考にはならないだろう。

 菊花賞はGⅠ皐月賞(中山/芝2000m)、GⅠ日本ダービー(東京/2400m)から続く3歳牡馬クラシックレースの中で最長距離のレース。皐月賞とは1000mもの差があり、距離適性が問われるレースだ。長距離タイプの血統馬が台頭することも多いので、今回は血統からレースを占ってみたい。

 今年の出走予定馬で、筆者がもっとも長距離適性を感じる血統馬がヴィクティファルス(牡3歳/栗東・池添学厩舎)だ。

3月にGⅡスプリングSを勝ったヴィクティファルス3月にGⅡスプリングSを勝ったヴィクティファルスこの記事に関連する写真を見る 父ハーツクライはGⅠ有馬記念(中山/芝2500m)の勝ち馬で、産駒は年度代表馬リスグラシューなどさまざまなタイプがいるが、ダイヤモンドS(東京/芝3400m)を3勝したフェイムゲームなどステイヤーも多く出している。菊花賞は勝ち馬こそ出していないが、2011年にはウインバリアシオンがオルフェーヴルに次ぐ2着。GⅠ天皇賞・春(京都・2021年は阪神/芝3200m)では2着5回、3着3回と安定しており、過去10年でもっとも多くの3着以内馬を出している。

 ヴィクティファルスは母系の血がスタミナに溢れている。母の父ガリレオは英ダービー馬であり、5頭の英ダービー馬など、芝2400m以上の大物を多く送る世界的大種牡馬。母の全兄セヴィルは芝2400mの豪GⅠザ・メトロポリタンを勝っている。ガリレオは同じく母の父として、今年の英・愛オークスを勝ったディープインパクト産駒スノーフォールを出しており、日本ではGⅡ目黒記念(東京/芝2500m)のキングオブコージ(父ロードカナロア)など、父馬の距離適性を伸ばす役割を果たしている。

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