ソダシの可能性は無限大。白毛馬初のクラシック馬が克服した3つの課題 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 レース前、ソダシが直面していた課題は3つあった。

 ひとつは、吉田騎手が最も心配していたゲートだ

 ソダシの母ブチコは、ゲートを壊して出走除外になったほど、ゲートに難があった。その点はソダシも受け継いでおり、ゲートでは常にうるさかった。実際、GI阪神ジュベナイルフィリーズの時は、スタート前のゲート入りにかなり手こずった。

 しかし、この日は先入れで、実におとなしかった。ゲート難という素振りは一切見せなかった。

 おそらく、吉田騎手はこれで、かなりの確率で「勝てる」と思ったに違いない。

 ただそれでも、課題は残っていた。

 残る2つは、この日の阪神の馬場がスピード馬に有利な高速馬場だったこと。しかも、そのわりには外からの差しが届く、いわゆる「外差し」がきく馬場だったことだ。

 洋芝の札幌で重賞を勝っているソダシは、スピードというよりは、パワータイプといった印象がある。その分、時計勝負には若干の不安があった。

 加えて、長くいい脚を使える先行タイプのソダシには、一瞬の切れ味がモノを言う外差しがきく馬場というのは、有利に働かない。

 だが、その2つの難問も、ソダシはものの見事に乗り超えていく。

 ゲートをスムーズに出て、逃げ馬の2番手という絶好のポジションを確保。そのまま番手をキープして、途中、かかり気味に出ていったメイケイエールが先頭に立っても動じなかった。

 そして、直線を迎えて前が開くや、いち早くスパート。残り200mを切って、後続を突き放して先頭に立った。

 最後は、1番人気のサトノレイナスが大外から強襲。クビ差まで詰め寄られたものの、堂々の横綱相撲で押し切った。

 終わってみれば、1分31秒1のレコード勝ち。これで、スピード競馬にも十分対応できることを証明した。

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