短距離界の絶対女王グランアレグリアは大阪杯で距離の壁を打ち破れるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 ただ、そこにはアーモンドアイが出走を予定していました。どちらもオーナーはノーザンファーム系のクラブでしたから、そこでは『アーモンドアイに花を持たせよう』という話になったみたいです」

 つまり、陣営としてはそれぐらい早い段階から、距離を延ばすことに手応えを感じていた、ということだ。

 グランアレグリアの距離適性について、主戦のクリストフ・ルメール騎手は「マイルがベスト」と、スプリンターズSを勝ったあとのインタビューで語っている。とはいえ、そこがベストであって、2000mが「ダメ」とは言っていない。

 実際、グランアレグリアのレースぶりから「2000mでも勝ち負けできる」と、前出の専門紙記者は見ている。

「短距離のGIを勝っていると言っても、グランアレグリアは抑えがきかなくて、かかり気味に先行するといったタイプではないですからね。どんなレースでも、どんな展開になっても、自分のリズムで走ることができる。

 こういうタイプは、距離に融通性があるんです。マイルがベストなのはそのとおりかもしれませんが、そこから2ハロンぐらいの距離延長なら、十分に対応できると踏んでいます」

 最近の日本の競馬では、長期休養明けであってもGI制覇を遂げたり、体力的に劣ると言われている牝馬から現役最強馬が生まれたり、ひと昔前には「常識外」と言われたことが次々に起こっている。

 そのトレンドに従うのなら、今回のグランアレグリアの「常識外」の距離延長も、あっさり克服できても不思議ではない。またひとつ、サラブレッドに新しい可能性が生まれる、という点においても喜ばしい限りである。

 そういう意味でも、大阪杯に挑むグランアレグリアの走りは見逃せない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る