ローズSは急成長を見込める2頭に期待。「良血」の底力を発揮する (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 デゼルの血統を見てみよう。父は大種牡馬ディープインパクトで、母アヴニールセルタンは2014年のGⅠ仏1000ギニー、GⅠ仏オークスをデビューから無傷の5連勝で勝ったフランスの牝馬2冠馬という世界的な良血馬。ディープインパクト産駒で母系にブラッシンググルーム、マキアヴェリアン、ヌレイエフを持つのは、前述のヴィブロスと同パターンだ。

 その全姉ヴィルシーナは、牝馬3冠のレースすべてでジェンティルドンナに続く2着だった。しかし秋華賞はハナ差と、もっともジェンティルドンナと差がなかったレースであり、この血統は秋華賞向きと言えそうだ。今回は秋華賞とはコースが違うとはいえ、どのような成長を見せてくれるか見届けたい。

 もう1頭はフアナ(牝3歳/栗東・角居勝彦厩舎)を挙げたい。春は「オークストライアル」のGⅡフローラS(東京/芝2000m)で3着に敗れ、惜しくもオークス出走はならなかった。だが、同レースは直線で前が詰まって追いづらい態勢になりながらも、ゴール前は鋭く伸びていた。

 そして前走、8月15日の小倉・3歳以上1勝クラス(芝1800m)に出走。馬体重はプラス28kgの444kgと大幅な成長を見せ、レースでは2着とクビ差ながら、1分44秒9という好タイムで走破している。

 血統は、叔父にGⅡ青葉賞のアドミラブル、叔母にGⅢターコイズS2着の現役馬エスポワールがいて、遡るとGⅠ日本ダービーのフサイチコンコルド、GⅠ皐月賞のアンライバルド、ヴィクトリーなどがいる名門牝系だ。ルーラーシップ×ディープインパクトの配合は、菊花賞馬キセキと同じで、同馬も3歳秋に素質を開花させている。フアナは前走からの上積みも期待できそうで、どんな走りをするか注目だ。

 以上、今年のローズSは夏を越しての成長が見込める良血馬、デゼルとフアナの2頭に期待する。

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