桜花賞は王道ローテの3強が中心。大外一気を決める大器の逆転も? (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 ですから、今年の桜花賞は、"王道ローテ"でいい競馬をしてきた馬たち、レシステンシア、マルターズディオサ、クラヴァシュドール(牝3歳)の3頭が、他の路線からくる馬たちより、地力も、経験値も一枚上と、個人的には見ています。

 2歳女王のレシステンシアについては、チューリップ賞で3着に負けたことが、桜花賞という大目標に向けては、かえってよかったのではないでしょうか。スローペースの逃げで負けたことにより、レシステンシアの勝ちパターンは、阪神JFのようなハイペースの持久戦に持ち込むこと、とハッキリしましたからね。

 それに、もしチューリップ賞でも楽勝していたら、桜花賞では圧倒的な1番人気で走ることになっていたはず。逃げ馬がクラシック本番で1本かぶりの人気を背負うのは、決して楽なことではありません。結果として、「1強」ではなく、「有力馬の1頭」という立場で走れるようになったことは、精神的にもかなり大きいと思いますよ。

 鞍上は、武豊騎手に替わりますが、レシステンシアの個性を考えると、いい手替わりだと思います。阪神JFの勝ち方、チューリップ賞の負け方も、きちんと分析していて、最終追い切りではしっかりとコンタクトが取れていました。本番でも、馬の力を出し切る乗り方をしてくれるに違いありません。

 美浦の手塚貴久厩舎所属のマルターズディオサは、阪神JF2着、チューリップ賞1着。あまり人気にならないタイプですが、安定感は今年のメンバーの中ではトップクラスです。

 なお、手塚厩舎と言えば、クラシックの常連と言っていい名門厩舎。今年は、トライアルのアネモネS(3月15日/中山・芝1600m)を快勝したインターミッション(牝3歳)との2頭出しですし、本当に力がある厩舎だと思います。

 マルターズディオサ自身、デビューから5戦のうち4戦で33秒台の脚を使っていて、ゴール前の追い比べでも負けない勝負根性を備えています。総合力の高さという点では、レシステンシア以上かもしれません。

 クラヴァシュドールは、阪神JF(3着)、チューリップ賞(2着)と、マルターズディオサに対して、いずれもハナ差負けですが、こちらも能力の高さは疑いようがありません。

 気になる点があるとすれば、チューリップ賞時点では賞金が足りなかったため、トライアルにしては「ビッシリと仕上げてきたな」と感じたこと。今回、どれだけの上積みがあるのか、その点がカギになりそうです。

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