牝馬2頭が有力視されるシンザン記念。朝日杯FS組が人気の盲点を突く (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 一方、ルーツドールは、栗東の藤岡健一厩舎の管理馬です。藤岡厩舎と言えば、2016年にジュエラー(2着)で、2018年にもツヅミモン(2着)で結果を残しています。これぞ、と見込んだ牝馬には、あえて牡馬混合重賞のシンザン記念にチャレンジさせているようですね。

 ルーツドールも、同様の評価なのでしょう。実際、新馬を勝ち上がったばかりで1戦1勝というキャリアですが、その初戦のパフォーマンスが圧巻でした。

 東京に遠征し、芝のマイル戦に出走。2番手追走から直線で楽々と抜け出して、後続に5馬身差をつけて圧勝しました。完全に抜け出したあと、教育するような意味合いで2発のムチを入れただけ......そんな競馬に見えました。それでいて、1分33秒3という破格の時計をマークし、まだまだ余力がありそうな雰囲気を感じました。

 血統的にも、GI2勝のフィエールマンの半妹ということで筋が通っています。今回は、コースと相手のレベルが変わって、試金石といった一戦になりますが、もしかすると、アーモンドアイやジェンティルドンナ級の超大物かもしれない――そんな期待を、個人的には抱いています。

 ということで、今年はこの牝馬2頭がそれぞれどんな走りを見せてくるのか、非常に楽しみにしています。いずれにしても、好走すれば、その後の将来が大きく開けることになりますし、もしワンツー決着ということになれば、今年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)は、この2頭がそのまま主役を張る、といった流れになるかもしれませんね。

シンザン記念での激走が期待されるプリンスリターンシンザン記念での激走が期待されるプリンスリターン さて、この強い牝馬2頭の参戦によって、GI朝日杯フューチュリティS(2019年12月15日/阪神・芝1600m)で健闘した2頭が、意外にも人気の盲点になっているような気がします。桜花賞に向けては、有望牝馬の走りに注目ですが、馬券的には、朝日杯FS組の2頭、4着タガノビューティー(牡3歳)と5着プリンスリターン(牡3歳)に妙味を感じています。

 とくに気になるのは、プリンスリターン。同馬を今回の「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

 プリンスターンについては、朝日杯FSの際にも「ヒモ穴馬」に指名させていただきました。鞍上がGI初騎乗の原田和真騎手だったこと、さらに距離経験がなかったこと、休み明けだったことなどが嫌われてか、単勝347.1倍の15番人気と、想像以上に人気がありませんした。それでも、レースでは何度かスムーズさを欠きながらも、5着と善戦。馬券的には痛恨の着順ではありますが、「やれる」と思っていたとおりの走りは見せてくれました。

 にもかかわらず、今回も引き続き「ヒモ穴馬」という扱いにとどめることにしたのは、自信を持って「勝ち負けになる」と薦めるには、少し頼りない部分があると感じているからなんです。

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