有馬記念に圧倒的に強い血統あり。格下でも脚質も合う2頭がくるぞ (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 そして脚質に関しては、クロコスミアは逃げて粘る形がベストの馬だが、有馬記念は逃げ馬の台頭も多い。代表的なのは1992年に15番人気で逃げ切ったメジロパーマーで、前述のマヤノトップガンも6番人気での逃げ切り。さらに2002年のタップダンスシチーも、13番人気で2着に入り波乱を演出している。

 牝馬の勝利は1986年以降に2頭。そのうちの1頭で、2008年の勝ち馬ダイワスカーレットも逃げの競馬で勝利した。同馬はその前年のエリザベス女王杯勝ち馬だが、2017年に8番人気で2着だったクイーンズリング、2001年に6番人気で3着だったトゥザヴィクトリーもエリザベス女王杯勝ち馬だった。有馬記念とエリザベス女王杯は関連度が高いのだ。

 クイーンズリングはクロコスミア同様、芝2200mまでの距離でしか連対経験がなかった。2400m~2500mの距離実績がなくても問題はないということ。このコースはコーナーを6回も回るため、前に行ける器用なタイプが好走する傾向もある。年齢的には、6歳以上の牝馬はこのレースで5頭が走り、3着以上なしという厳しいデータもあるが、そこは目をつぶってクロコスミアに期待したい。

 3頭のステイゴールド産駒のうち2番目に推したいのがスティッフェリオ(牡5歳/栗東・音無秀孝厩舎)だ。母の父ムトトは、英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝12F)を勝ったステイヤー。その父バステッドは、過去の勝ち馬でもあるディープインパクト、ヴィクトワールピサ、先ほど挙げたクロコスミアも持っている血だ。今年、中山でGⅡオールカマー(芝2200m)を勝っているコース適性も後押しする。

 以上、今年の有馬記念はクロコスミア、スティッフェリオのステイゴールド産駒2頭に期待したい。

■平出貴昭 著
『覚えておきたい世界の牝系100』(主婦の友社)

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