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ジャパンCは世界の名手が集うも、
狙いは主戦の日本人騎手鞍上の2頭

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

「世界に通用する強い馬づくり」を目指して、1981年に創設されたGIジャパンC(東京・芝2400m)。令和元年の今年で39回目を迎えますが、「いつか起こるのではないか」と思っていたことが、ついに起きてしまいました。

 ジャパンCの歴史上初めて、外国馬の参戦がゼロになったのです。

 たしかに、近年は外国馬が上位に絡むことがほとんどなくなっていましたし、それに伴って、日本にやって来る外国馬の"格"も徐々に下がってきていました。とはいえ、ジャパンCというレースの意義を考えると、勝負は別にして、外国馬がまったくいない状況になったことには、寂しさを感じます。

 やはり、昨年のジャパンCでアーモンドアイが記録した2分20秒6という驚異的な世界レコード――あれが、外国馬の参戦意欲を削ぐ決定打となったのかもしれません。その結果を見て、日本馬の強さに恐れをなしたのか、それとも、日本の高速馬場に恐れをなしたのか、どちらかはわかりませんが......。

 僕は現役時代、所属していた中尾鉄治厩舎の馬で、第1回と第7回のジャパンCに騎乗し、世界の名馬たちとのレースを味わわせてもらいました。第1回で騎乗したゴールドスペンサーは5着でしたが、日本馬の中では最先着だったんですよ。

 当時は、それこそアメリカやヨーロッパのGI馬と言えば、雲の上の存在。馬体のつくりからして「格が違う」といった感じで、とても日本の馬が勝てるとは思えませんでした。

 僕が参加させてもらった年以外で言えば、とりわけ印象に残っているのは、1982年の第2回。当時の世界最高賞金獲得馬ジョンヘンリー(アメリカ)が来日したのですが、「こんなにすごい馬が日本で走るのか」と感動したことを覚えています。

 それから30年余り。JRAが懸命な招致活動を行なっても、「日本に行っても勝てない」と、外国馬が来日してレースに参戦することはなくなってしまいました。これはある意味で、日本競馬の環境が変わり、レベルが上がったことの証明でしょう。

 いずれにせよ、外国馬がいなくても、秋の"古馬三冠"2戦目となるビッグレース。ジャパンCが、注目の一戦であることに違いはありません。

 ただ、今年のレース(11月24日)は、日本馬のレベルも決して高いとは言えません。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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