宝塚記念で思い出すメジロライアン。戦法転換でついに無冠を返上した (4ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 けれども、GIの大舞台で、これほど鮮やかにそれをやってのけた、という例はあまり聞かない。

 それにしても、この戦法の転換はどのようにして生まれたのだろうか。

「馬が、そうしたがった」

 主戦の横山典弘騎手は、レース後にそう語っている。

 それは、本当に馬の意思なのか。いや、もしかすると、そのコメントは表面上のことで、実は名手・横山典騎手が騎手としての"引き出し"にしまい込んでいた、とっておきの挽回策だったかもしれない。

 メジロライアンはその後、脚部不安に悩まされ、翌1992年のGII日経賞(中山・芝2500m)を勝ったのを最後に引退する。

 そのドラマチックな競走馬としてストーリーのせいか、実際の競走成績以上に、多くのファンに愛された馬だった。

 もうすぐ、今年の宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)。

 このレースは、メジロライアンをはじめ、GIを勝ち切れなかった馬たちが、煮え湯を飲まされてきたライバルに一矢報いる舞台として知られる。テイエムオペラオーの前にGI5戦連続2着という屈辱を味わわされた、2001年の覇者メイショウドトウもそうだ。

 はたして今年も、そんな逆転劇が見られるのだろうか。

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