2019.06.18

武豊が騎乗のディアドラ、調子は上々。
英伝統レースで注目馬の状況は?

  • 土屋真光●文・撮影
  • text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 一見するとマジカルには隙がないようにも見えるが、ただ実はこのレースは、1番人気がなかなか勝てないというデータがある。

 この10年でも1番人気の勝利は3回だけ。連対すらできなかった1番人気馬の中には、エイシンヒカリやトレヴという名馬の名前もある。また、マジカル自身も、昨秋のGI英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(アスコット/芝2390m)は勝利しているものの、遠征では取りこぼしが少なくないのも事実だ。

 一方の2番人気のシーオブクラスも、ここまでの臨戦過程があまりいいとは言えない。と言うのも、本来は5月のGⅡミドルトンS(ヨーク/芝2100m)で今年初戦を迎える予定だったのが、熱発でこれを回避し、ぶっつけ本番で今レースに臨む形となってしまったのだ。昨年の凱旋門賞で2着になるなど実力があることは確かだが、全幅の信頼を置きにくい。

 そこで狙いたいのが、ブックメーカーでは3番人気のクリスタルオーシャンだ。馴染みの薄い馬だけに、日本のオッズでは4番人気、ないし5番人気になると見込める。

 これまでに14戦7勝で重賞は6勝。GIは3回出走してまだ勝利はないが、その3回がすべて2着という堅実派でもある。しかも、その3度の2着のうち2回が、昨年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(アスコット/芝2390m)と、英チャンピオンステークス(アスコット/芝1990m)で、今回と同じアスコットコースなのだ。

 また、昨年のロイヤルアスコット開催では最終日に組まれているGⅡハードウィックステークス(アスコット/芝2390m)に出走し、見事にこれを制している。高低差が大きく、最後のひとふん張りが問われるアスコットコースで、これだけ安定した成績を残しているのだから、中心に狙わない手はないだろう。

 そしてもう1頭狙いたいのが、フランスから挑むヴァルトガイスト(牡5歳)だ。昨年の凱旋門賞(パリロンシャン/芝2400m)でも1番人気となったように、実力は折り紙つき。今年も初戦のGIガネー賞(パリロンシャン/芝2100m)を圧勝して、ここに駒を進めている。

 フランス調教馬のため、一枚割引の印象もあるが、実はこの馬自身、3歳時にアスコットに遠征して、GⅢカンバーランドロッジステークス(アスコット/芝2390m)で2着となった実績がある。管理するA・ファーブル調教師が、2007年にマンデュロでこのレースに勝利しているのも心強い。

 御歳93歳のエリザベス2世女王陛下が見守るレースは、人気を集める3強を相手に、ディアドラとヴァルトガイストがどんなレースを見せるのかに要注目だ。