確かな実力を秘めたリスト。不運に泣かされた兄たちの無念を晴らすか (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 ヘンリーバローズの全兄であるシルバーステート(牡)も、素質がありながら故障に泣かされて大成できなかった。デビュー戦で惜しくも2着に敗れたあと、未勝利、500万下特別と圧勝して、一躍クラシック候補に躍り出たが、屈腱炎を発症。戦列を離れて、一生に一度の華やかな舞台に進むことができなかった。

 その後、シルバーステートは1年7カ月という長期休養を経て、復帰初戦で1000万下特別を快勝。続く1600万特別も制して、今度は古馬GI戦線での活躍を期待された。だが、その際も屈腱炎を再発。大一番を目前にして、戦線離脱した。

 結局、当初は復帰を目指すことが発表されたものの、ケガの深刻さから断念。そのまま、引退となった。

 シルバーステートとヘンリーバローズ。万全であれば、2頭とも大きな仕事を遂げていたに違いない。そんな兄たちの無念を晴らすべく、今年も同じ血を引く弟がまもなくデビューを迎えようとしている。

 栗東トレセンの池江泰寿厩舎所属のリスト(牡2歳/父ディープインパクト)である。

全兄シルバーステートに「そっくり」だというリスト全兄シルバーステートに「そっくり」だというリスト 育成を行なったノーザンファーム早来の木村浩崇氏は、春の時点で同馬についてこんな印象を述べていた。

「リストを最初に見たときから、『シルバーステートにそっくりだ』と思いました。見た目は、本当に瓜二つなんですよ。そうして、リストもじっくりと育成を進めてきた結果、よくなってきました。"良血馬"らしい、1頭になったと思います」

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