牝馬優勢もあえて牡馬。アイビスSDは格下レッドラウダが下克上する (2ページ目)

 コース取りはそれぞれの駆け引きがありますし、レースを検討するうえでは、馬の脚質や個性を考えて、その枠が合うのかどうか、考えることも重要でしょう。

 わずか1000mの戦いですが、そこにはさまざまな要素が含まれています。ゆえに、僕も騎乗しているときは考えることが多く、だからこそ、「楽しい」と感じていました。騎手による巧拙が出るコースだと思います。

 まさに難しさと面白さが凝縮された千直を舞台にして行なわれるアイビスSD。例年、この舞台を得意とするスペシャリストが集結するレースですが、今年は昨年のレースも走っていた馬が4頭だけ。前年覇者のラインミーティア、この舞台の常連だったネロもおらず、だいぶ顔ぶれが変わった印象があります。

 そうした状況にあって、まず注目を集めるのはダイメイプリンセス(牝5歳)でしょうか。今年の春に初めて千直の1600万特別・駿風S(5月5日)を走って、2馬身半差の快勝。続くオープン特別の韋駄天S(5月20日)でも2馬身差をつける強い勝ちっぷりを披露しました。

 どちらも道中のタメがしっかりと利いていて、最後の100mで後続を突き放す圧巻の内容でした。千直への適性の高さを感じさせますし、昨年の夏場も連勝を飾っているように、暑さを苦にしない牝馬というのも心強いですね。

 ただ、気になるのは、テンのダッシュ力がやや乏しく、後方からレースを進めるタイプであること。これまではうまく進路が開いたので、最後は余裕をもって突き抜けることができましたが、千直における後方待機馬は、馬群が壁になってさばき切れないのではないか、という不安が常につきまといます。

 重賞ともなると、途中で脱落するような馬も少なくなります。まして今回は、他馬のマークを受ける立場。これまでのような"楽な競馬"にはならないのではないか? と思ってしまいます。

 そうなると、やはり目がいくのは先行力があって、自分の能力を出し切れる、千直で信頼できるタイプです。今年は、3歳馬ラブカンプー(牝3歳)と、昨年の3着馬レジーナフォルテ(牝4歳)の、2頭の牝馬への期待が膨らみます。

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