フィリーズレビューで思い出す、地方馬ライデンリーダーの「凄い脚」 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 当時4歳(※馬齢は旧表記。以下同)だった彼女が、中央進出初戦として選んだのが、桜花賞トライアルのGII報知杯4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)。このレースで3着以内に入れば、桜花賞の優先出走権が得られた。

 当日は、単勝3.5倍の2番人気に支持された。

 笠松では敵なしといえども、ダート競馬しか経験がない。初めての芝のレースで、桜花賞を目指す強敵相手にどこまで――2番人気からは、ファンのそんな微妙な心理が読み取れた。

 やがてゲートが開く。

 直後に、馬券を買ったファンの多くは頭を抱え、買わなかったファンの多くは「やっぱりな」とほくそ笑んだに違いない。

 スタートは反応よく飛び出したものの、そこから騎手の手が動きっぱなしなのだ。テレビの画面からいったん姿が消え、しばらくして映ると、馬群の中団のインに控えたまま、スタート直後よりもさらに激しく騎手の手が動いている。

 騎手は「いけ、いけ」と激しく馬を叱咤しているのに、馬がそれに反抗するというのではなく、そもそもそれにこたえる能力に欠ける。そんなふうにも見えた。

 直線に入っても、インに詰まったまま、相変わらず騎手の手が激しく動く。

 それは、ともすれば「悪あがき」にも見えた。

 だが、そこまではいわばイントロで、"ライデンリーダー劇場"の本番はいよいよこれから。

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