毎日王冠のマカヒキ。復活か、それともダービーで燃え尽きていたのか (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 大阪杯のあとは、宝塚記念に向かうと見られていたが、早々にこれを回避することを決定。放牧に出されて、秋に向けて備えることになった。吉田記者は「この決断が、"呪縛"を解くための、オーナーと調教師の英断だった」と言う。

「春にあのままズルズルとレースを使って負け癖をつけてしまうと、"復活"の道がなくなることは、過去に数多くのダービー馬が証明しています。しかしマカヒキは、惨敗の凱旋門賞からおよそ1年で2戦しかしていません。そのことが、この馬の"変われる"動機づけになるのではないでしょうか」

 今回、マカヒキはダービーと同じ距離の京都大賞典ではなく、1800m戦の毎日王冠に駒を進めてきた。そもそも、全姉のウリウリが短距離からマイル指向の馬だったことから、ダービー時点でもマカヒキへの距離不安は囁かれていた。そういう意味では、この距離短縮は復活への好材料になるかもしれない。

 そんな好材料を生かすためにも、気になるのは現在の状態である。1週前の追い切りでは、今回から手綱を取る内田博幸騎手が関東から栗東まで駆けつけて感触を確かめたというが、その走りはどうだったのだろうか。吉田記者がその様子を伝える。

「今回のマカヒキの体つきは、大阪杯のときほどトモのボリュームはありませんが、京都記念のときよりは上です。年齢を重ねたことで前駆体系になって、血統的なものからか、(体系的には)マイラー色が濃くなってきた印象を受けます。皮膚の薄い上々の質感で、高速馬場に対応できるスカッとしたフォルム。仕上げに抜かりはありません。

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