凱旋門賞でサトノダイヤモンドと戦う「国際エリート馬」の華麗な戦歴 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Press Association/AFLO


 また、ローテーション面でもヨークシャーオークスから直行で凱旋門賞を制した馬は前例がない。かつて、ジャパンカップにも参戦したユーザーフレンドリーもヨークシャーオークスを勝って、凱旋門賞でも2着となったが、その間に英セントレジャーも勝ってからの出走であった。

 もうひとつ、6戦5勝のエネイブルが唯一敗れたのが、硬い馬場で行なわれた今年4月のニューベリーでの条件戦(芝2000m)だったことだ。父ナサニエルも現役時代は硬い馬場を嫌って、凱旋門賞を回避したことがある。昨年のような高速決着が予想される場合には、疑ってかかるのもありだろう。

 2番手と目されているのは、イギリスのユリシーズ(牡4歳、父ガリレオ)。3歳だった昨年の夏以降に徐々に頭角を現し、今年に入って、英GIエクリプスS(7月8日/サンダウン・芝2000m)、英GIインターナショナルS(8月23日/ヨーク・芝2080m)と2つのGIを制している。当初は2000m路線を進むと見られていたが、ここにきて凱旋門賞に矛先を向けてきた。

 ただ、この馬に関しては距離と馬場という2つの死角がある。これまでのパフォーマンスからベストは2000mで、2着とはなったものの"キングジョージ"では前出のエネイブルにあっさりとちぎられている。また、硬い馬場もあまり向くとは思えない。昨年秋もGIブリーダーズCターフ(2016年11月5日/サンタアニタ・芝2400m)に出走したが、距離と高速決着の適性の差から、勝ったハイランドリール(牡5歳、父ガリレオ)から約6馬身差をつけられて、4着に敗れている。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る