スプリンターズSと言えばダイタクヤマト。単勝200倍超えの大激走

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 初めてオープンという名のつくレースを勝ったのは、6歳(現年齢表記。以下同)のとき。それまでに、すでに27戦(6勝)も消化している。

 そんなプロフィールから思い浮かぶのは、「遅咲き」「叩き上げ」、そして「地味な馬」といったイメージか。少なくとも"エリート"という感じはしない。その先も、重賞をひとつ、ふたつ勝てるのがやっとで、GIを制することなど夢のまた夢、というのが率直な印象だ。

 だが、この馬は6歳になってから、まさに競走馬としての"旬"を迎えた。重賞未勝利のまま、一気にGI馬へと上り詰めたのだ。

 ダイタクヤマト(牡/父ダイタクヘリオス)――。2000年、GIスプリンターズS(中山・芝1200m)が暮れの開催から秋のGIシリーズの幕開けを告げる一戦となった、最初の年の覇者だ。

2000年のスプリンターズSで、強豪各馬を抑えて大番狂わせを演じたダイタクヤマト(左端)2000年のスプリンターズSで、強豪各馬を抑えて大番狂わせを演じたダイタクヤマト(左端) この年のスプリンターズSは、まれに見る激戦だった。イギリスのGIを制したばかりのアグネスワールドをはじめ、前年の覇者であるブラックホークに、2年前の覇者マイネルラヴ、春のGI高松宮記念(中京・芝1200m)を勝ったキングヘイローに、4連勝中と勢いに乗るビハインドザマスク、さらに香港からも強豪のベストオブザベストが参戦。GI馬がなんと7頭と、非常にハイレベルなメンバーが顔をそろえていた。

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