アラブの王族もお手上げ。競走馬セレクトセールはジャパンマネー強し (2ページ目)
ところが、前述のSeptemberを所有するクールモアグループも現場にいたようだが、お目当ての馬を落札できず、1頭も購入できないままセールを後にすることとなった。実は昨年もお目当ての馬を「サトノ」の冠名でお馴染みの里見治氏と競り合った末に購買を見送っており、ジャパンマネーの厚い壁にまたしても阻まれた形となった。こうした状況を、海外からの参加者はどう見ているのだろうか。
「実にエキサイティングなセールです。今や日本の血統は世界のどこであっても無視はできない。ここに来れば、その血統の中でも上質な部類の馬たちを確実に手に入れることができます。ただし、そのためには予算が驚くほど必要ですね。この予算をどこまで取れるか、オーナーやバックアップするシンジケートの資金力が試されます」
そう語るのは、オーストラリア人のマーク・プレイヤー氏。香港国際競走のスカウトのほか、馬主のエージェントとしても活動しており、今回のセールでもクリムゾンブーケの2016(牝1歳/父ハーツクライ)を2500万円で購買していた。強い日差しに目を覆いながらプレイヤー氏は続ける。
「今年は非常に暑い。ですから、みなさん少し熱にやられているのかもしれません。少しクールダウンしてくれないと、我々のような外国からのバイヤーは簡単に手が出せません(笑)」
一方で、購買目的とは別の用事でセールに来場していた、日本人ながらニュージーランドのオークススタッドファームに勤務する小西研二氏は、「一部のセールの活況は世界的な傾向」と語ってくれた。
「4月にオーストラリアのイースターセールに行ったんですが、そこと似た雰囲気です。やはりいい馬が上場されるセールには世界中からお金が流れ込んでいるので、いい馬はより高くなりますし、それを買うつもりだったのに買えなかった、そこそこ資金力のあるバイヤーが下の価格帯に手を出しますので、そのぶん全体的に平均価格は上がってしまいます。これは共通した傾向ではないでしょうか」
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