これぞ「正攻法」。君は中京記念の
オサイチジョージを知っているか?

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan sports/AFLO

オグリキャップを下して宝塚記念を制したオサイチジョージオグリキャップを下して宝塚記念を制したオサイチジョージ"正攻法"の競馬、というものがある。

 先行して、逃げ馬を射程圏にとらえ、4角辺りで抜け出しを図り、あとは直線に入ってから引き離す。

 ひと言で言って、スキがない。

 関西のある騎手が、「この競馬で勝てる馬が、一番強い」と言った。

「一番強い」かどうかはわからないが、この戦法を得意とした馬に、オサイチジョージという馬がいた。

 1990年のGI宝塚記念(阪神・芝2200m)を勝った馬。というよりも、その宝塚記念で、あのオグリキャップを2着に負かした馬、といったほうが思い出す方も多いだろう。

 1988年にデビューして、この宝塚記念まで15戦8勝、2着4回、3着2回(宝塚記念を含む)。距離が合わなかった菊花賞での大敗(12着)を除けば、すべて3着以内の馬券圏内に絡んできた優秀な馬だ。

 当時、オグリキャップ、スーパークリーク、イナリワンの「3強」と言われた時代。その陰に隠れて、オサイチジョージは決して目立った存在ではなかったが、十分にA級馬の実力を備えていた。

 この馬が競走馬として最も輝いていた、いわゆる「旬」の時期が宝塚記念を勝った1990年の上半期。このとき、「勢いを得た"上がり馬"とは、これほどまでに強くなるのか」と感嘆させられるほど、素晴らしい成績を残す。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る