熱血マンガ『アストロ球団』の血を継ぐ僧侶が占う、混戦ダービーのゆくえ (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 
 2012年、中国の大学を卒業し、駐在を終えて私は再び高野山に戻ってまいりました。その頃と前後して、父のガンが再発しました。

 父は私が物心ついた頃には、特に何をするわけでもなく家でゴロゴロしておりました。父は30代半ばに脳卒中で倒れてしまい、なんとかリハビリして日常生活には支障がない程度には回復したのですが、もう漫画を描くことはできなくなっていたのですね。

 私が小学校に上がる頃には、『アストロ球団』は、あのデタラメなほど熱血な展開を茶化される風潮が強く、私も多感な時期は、父が漫画家であることを隠したい、父をどうしても好きになれない時期もありました。そんな父が、3年前の8月に亡くなりました。『優駿』のエッセイ大賞をいただいたのは父の死の直後。「死んだ種牡馬の仔は走る」なんて、今年のフェブラリーSでも言われましたが、こうして大好きな競馬で注目していただき、父と縁のある集英社で競馬のお話をすることになったのも、父が何かの力を貸してくれたのかもしれません。
 
 しかしながら、私は競馬予想に関しては、血統というものはあまり重視しません。どちらかといえば、わかりやすい良血よりも、モーリスのような馬に惹かれます。戦績でも3歳の早いうちからエリートとして注目されるよりも、遅咲きで長く強く活躍する馬の方が好きなんです。ダービーを勝った馬でも、その後伸び悩んでしまう馬とかもいますから。

 検討する上で重要なファクターは厩舎ですね。最近は、まず堀宣行厩舎と中内田充正厩舎に注目しています。騎手で買うよりも確実ではないでしょうか。

 脚質では逃げ・先行馬が好きです。ここぞというときは前の馬が穴を開けるような気がしますし、前に行った方が見ている側も楽しめます。追い込み馬で、道中一度も名前を呼ばれないまま終わったりすると悲しいですよね。ですので、逃げ馬なのに後方待機で足を溜めて負けた時は、さすがに腹が立ちます(笑)。

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