天皇賞・春の「2強」論争に異議あり!割って入るのはシャケトラだ (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Yamane Eiichi/Aflo

 では、その紛れが起きるとした場合の一角崩しはどの馬か。すでにGI で勝負付けが済んでいる馬からは考えにくい。となると、浮上するのが遅咲きの大器を予感させるシャケトラ(牡4歳/父マンハッタンカフェ・角居勝彦厩舎)だ。サトノダイヤモンドと同じ"最強世代"とされる4歳馬。しかし、そのサトノダイヤモンドやディーマジェスティー(牡4歳/父ディープインパクト・二ノ宮敬宇厩舎)が皐月賞、日本ダービーと春のクラシックで死闘を繰り広げていた頃、まだデビューすらしていなかった。

 もともとは世代の中でも素質馬と見られており、育成時代もGI級の馬と伍して劣らない動きを見せていたのだという。しかし、体質が弱く、ソエなどに悩まされ、ようやくデビューにこぎつけたのが、すでに下の2歳世代の新馬戦も始まった6月12日の未勝利戦(阪神・芝2000m)。ここを断然人気に応えて、この馬のキャリアがスタート。続く7月の美濃特別(中京・芝2000m)では3着に敗れるも、ここからじっくり間隔を取って使われると、10月の500万下条件(阪神・芝2400m)、12月の境港特別(阪神・芝2200m)と連勝。格上挑戦で出走した年明けのGII日経新春杯(1月17日/京都・芝2400m)では53kgの軽ハンデだったとはいえ、古馬の重賞でいきなり2着と通用するところを見せた。そこから2ヵ月半後に出走して勝利を収めたのが、日経賞(3月25日/中山・芝2500m)だ。

 角居厩舎の辻野泰之助手は、その充実ぶりに厩舎全体が驚いているという。

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