ヴィブロスでドバイターフを制した「大魔神馬」。次はアメリカに照準 (4ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


 興奮を隠せなかったのは、オーナーの佐々木氏も同じだ。

「道中は、ああダメなのかなあと思いながらも頑張れ、と見ていましたが、最後はよく覚えていません(笑)。常々、自分がプレーするよりも愛馬のレースを見るほうが緊張すると言っていましたが、自分が現役時に取ったどんな大きなタイトルよりも興奮しますね。たまらないです!」と顔を紅潮させながら表彰式に歩を進めた。

 管理する友道康夫調教師も、「勝っちゃったよ」という表情を浮かべながらレースを終えた愛馬を出迎えた。昨年、マカヒキを出走させた凱旋門賞では、大きな期待がプレッシャーになっていたようにも見えたが、その当時とは実に対照的な笑顔にだった。

 ヴィブロスは日本では単勝8.8倍の5番人気だったが、他国での評価はもっと低かった。日本調教馬はこれまでにアドマイヤムーン、ジャスタウェイ、そしてリアルスティールの3頭が過去にこのレースを制しているが、いずれも古馬牡馬でGIの連対実績があった馬たちだった。日本調教の4歳牝馬による海外GI勝利は、1998年のシーキングザパールによるモーリス・ド・ゲスト賞(フランス)以来。国内生産馬では初の快挙だ。

 秋には同じ佐々木氏所有のシュヴァルグランがGIブリーダーズカップターフ(芝2400m)に挑む計画がある。ヴィブロスもこれに合わせてGIブリーダーズCフィリー&メアターフ(芝2000m)に向かう選択肢があることも友道調教師は示唆した。

「馬のことは友道調教師に任せていますし、調教師にもいろいろな夢がある。僕はそれに協力するだけです」と佐々木氏はさらなる夢の広がりに期待を寄せた。

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