神戸新聞杯、大本命サトノダイヤモンドを脅かす「2頭の上がり馬」 (2ページ目)

 続く皐月賞は13着と、出走しただけで終わってしまいましたが、その後は無理に日本ダービーを使わずに休養。これが正解だったと思います。復帰初戦の函館戦(500万条件で1着)から、成長を感じさせるレースを見せてくれました。

 その直後の昇級初戦(1000万特別)は2着と取りこぼしましたが、前走の1000万特別・HTB賞(8月14日/札幌・芝2000m)では再び完勝。トモ(後肢)がよくなったのか、位置取りがよくなったうえ、仕掛けた際の反応もよく、器用な競馬ができるようになっていました。こうなってくると、春にあった上位陣との差が、大きく詰まっている可能性はあるでしょう。

 もう1頭は、ナムラシングン(牡3歳)です。同馬も春の段階では上位勢との差を感じましたが、夏を越して大きく成長。期待を抱かせる1頭となりました。そこで今回は、この馬を「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

夏を越えて成長したナムラシングン夏を越えて成長したナムラシングン 2歳の暮れにサトノダイヤモンドと初めて対戦。そのときは3着に奮闘したものの、完全に力負けでした。そして、2度目の対戦は皐月賞。ここでも7着に敗れていますが、内容は最初に対戦したときとは違いました。スタートからサトノダイヤモンドをマークして追走。残り800mとなる3コーナー付近から外側に並びかけて真っ向勝負を挑み、直線坂下まで食い下がっていったのです。

 結果的には敗れてしまいましたが、1000m通過が58秒4というハイペースのレースにあって、3コーナーから大外をまくっていけば、普通は大敗しても仕方がないところ。それを7着に踏ん張ったことは、秘めた能力の一端を見せたと思います。

 サトノダイヤモンドもナムラシングンに外から来られたので、仕方なく動いたように見えました。それが最後の甘さとなり、後ろから来た2頭に差される形となりました。ある意味で、このレースのカギは、ナムラシングンが握っていたのかもしれませんね。

 ナムラシングンもこのあと、ミッキーロケットと同様、無理をしないで休養に入りました。陣営のこの選択は、まさに英断だったと思います。

 なぜなら、ミッキーロケットはまだ500万条件の身でダービー出走はかなり厳しい状況にありましたが、ナムラシングンの場合は2勝していて、なおかつ皐月賞トライアルの若葉Sでも2着と、トライアル戦に出ていればダービーの出走権利を取れるポテンシャルを見せていたからです。

 日本ダービーというのは競馬に携わる者にとって、参加するだけでも意義がある特別なレース。それが実現できる可能性がある馬を、先を見据えて休ませたのですから、なおさらそう思います。

 その"英断"の成果は、前走の1000万特別・宮崎特別(8月13日/小倉・芝2000m)でしっかりと見ることができました。降級馬のいないレベルの低いレースではありましたが、休み明けで古馬相手に難なく勝利。それも、直線で軽く仕掛けると、あっという間に2着馬に2馬身半差をつける完勝でした。

 サトノダイヤモンドとは3度目の対戦となる今回、これまで以上に際どい勝負を演じても不思議ではありません。

大西直宏オフィシャルブログ>

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