激アツのダービー。スマートオーディンから妙に漂う「一発ムード」

特集:「最強世代」の日本ダービー(6)

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今週は、いよいよ「競馬の祭典」日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)ですね。すべてのホースマンの夢であり、憧れであり......今年はどの馬、どのジョッキーが栄冠を手にするのか、本当に楽しみです。

 ところで、皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)の際にも触れましたが、昨年の皐月賞で上位を占めた、1着ドゥラメンテ、2着リアルスティール、3着キタサンブラックは、その後のクラシックを賑わせたあと、年が明けて古馬になってからも活躍。ドゥラメンテとリアルスティールはドバイで奮闘し、キタサンブラックは先の天皇賞・春を制して、現在の競馬界のトップに君臨しています。それはつまり、昨年の3歳世代がそれほどレベルの高い世代だったという証でしょう。

 しかし驚くことに、今年の3歳世代はその昨年をしのぐほど「ハイレベル」と言われています。しかも、レベルの高い馬が1頭、2頭いるだけではありません。先の皐月賞でも、戦前から「普通の年なら皐月賞馬」というレベルの馬が何頭もいて、実際にそのとおりの結果になりました。

 勝ったディーマジェスティ(牡3歳)だけでなく、2着マカヒキ(牡3歳)、3着サトノダイヤモンド(牡3歳)、そして実質4着(5着に降着)のリオンディーズ(牡3歳)に、5位入線(4着)のエアスピネル(牡3歳)などは、普通の年なら皐月賞馬に輝いていたでしょう。時計がすべてではありませんが、そう言えるだけの走破時計を記録しましたからね。

 さらに今年は、「皐月賞組」以外からも魅力のある馬が出てきています。

 トライアルの青葉賞(4月30日/東京・芝2400m)では、ヴァンキッシュラン(牡3歳)が過去10年で最速、青葉賞史上でも2番目に速いタイム(2分24秒2)をマークして勝利しました()。プリンシパルS(5月7日/東京・芝2000m)でも、2000mで施行されるようになった2003年以降では、2010年のルーラーシップ(1分59秒1。その後、ダービー5着)に次ぐ1分59秒2という好タイムでアジュールローズ(牡3歳)が勝利。各トライアル戦でもハイレベルなレースが繰り広げられ、世代全体のレベルの高さが示されています。
※青葉賞における最速タイムは、2004年のハイアーゲームが記録した2分24秒1。同馬はダービーでも3着と好走。

 とにかく、今年の日本ダービーは相当見応えがあります。先の話になってしまいますが、ひとつ上の"ドゥラメンテ世代"との対決までも、今から楽しみになるほどです。

 そんな、世間的にも一段と注目度が増している今年の日本ダービー。中心となるのは、やはり王道の「皐月賞組」だと思います。確かにトライアルのレベルも高かったのですが、皐月賞こそ「最も強いメンバーで行なわれた"ダービートライアル"だった」と思うからです。 

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