激アツのダービー。スマートオーディンから妙に漂う「一発ムード」 (2ページ目)
現に皐月賞の前から、サトノダイヤモンドやディーマジェスティなどの陣営は、「最大目標はダービー」と公言していました。ということは、それらの馬にとって皐月賞は"ステップレース"だったということ。すなわち、高いパフォーマンスを見せたとはいえ、ダービーの優先出走権を得るために懸命な競馬をしてきた「トライアル組」とは、ダービーへ向けての過程や余力が明らかに違うのです。
では、「皐月賞組」でどの馬が上位を狙えるのか。
リオンディーズは、皐月賞では強い風の影響を受けたり、折り合いを欠いたりして、本来の力を発揮できなかったと思います。しかし、ここ最近のレースを見ていると、半兄エピファネイアの悪い頃の雰囲気に似ています。その辺りが、この短期間ではたして矯正されるのか。そんな不安を抱えている分、やや割引ですね。
また、エアスピネルも皐月賞で上位に入線した馬とは勝負づけが済んでしまったように思います。まともな"力勝負"になったら、おそらく出番はないでしょう。
それでも、鞍上はダービー5勝の武豊騎手。誰よりもダービーの勝ち方を知っているジョッキーです。ダービーを勝ってないジョッキーと比べたら、そのアドバンテージは非常に大きく、展開が味方して、なおかつ"ここ一番"の勝負騎乗がはまるようだと、チャンスが巡ってくるかもしれません。武豊騎手自身、今勢いがありますからね。
とはいえ、現実的には皐月賞の上位3頭のほうが上。とりわけ、マカヒキとサトノダイヤモンドにかなりの可能性を感じます。
ともにディープインパクト産駒ですが、その父により似ているのは、マカヒキのほうでしょうか。ローテーションもほぼ同じですし、爆発的な決め手はまさに父ディープインパクトを彷彿とさせるものがあります。ただし、父のほうがもう少し重心が低かったような気がします。その点で、距離が延びることがやや心配になってしまいますね。
一方のサトノダイヤモンドは、マカヒキに比べて決め手の鋭さはないものの、抜け出す脚はありますし、長くいい脚を使います。皐月賞では、ハイペースで飛ばすリオンディーズを意識しすぎて早く仕掛けることになって、後方で待機していた馬に有利な展開を作ってしまいました。しかし、この馬自身、最後まで伸びていたことは大きな収穫。直線が長い東京コースはプラスに転じると思います。
鞍上は、ルメール騎手。JRAに移籍後、大一番での勝負強さには「?」マークがついていましたが、NHKマイルC(5月8日/東京・芝1600m)では1番人気のメジャーエンブレムで勝利し、そうした懸念は払拭されつつあります。そもそも、先週は土日で10勝も挙げた桁違いのジョッキーです。ダービージョッキーとなるにふさわしい存在と言えるでしょう。
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