【競馬】チャンピオンズC、決め手あるサウンドトゥルーが狙い目

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今週のGIは、昨年から開催場所を中京競馬場に移して、レース名もチャンピオンズC(12月6日/ダート1800m)と変更された下半期の「ダート王決定戦」です。

 注目は、上位人気が予想される3頭です。今春、フェブラリーS(2月22日/東京・ダート1600m)連覇を飾ったコパノリッキー(牡5歳)に、ディフェンディングチャンピオンのホッコータルマエ(牡6歳)、そして3歳馬ながら、現在4連勝中のノンコノユメ(牡3歳)です。それぞれ、実績は申し分なく、ここを勝ち切るイメージができる実力馬です。

 ただ、3頭とも懸念材料を抱えています。馬券検討という意味では、厄介ですね。

 コパノリッキーは今年、チャンピオンズCと同じ条件で行なわれた東海S(1月25日/中京・ダート1800m)を快勝。続くGIフェブラリーSで連覇を達成しました。その後、骨折をして休養。休み明けの日本テレビ盃(10月7日/船橋・ダート1800m)では、やや暴走気味に飛ばして3着に敗れましたが、直後のJBCクラシック(11月3日/大井・ダート2000m)を圧勝し、昨年と同じステップで本番に臨むことになりました。

 昨年のフェブラリーS以降、ダート界をけん引するトップホースとして活躍。今回も最有力馬の一頭に挙げられますが、その間、唯一大敗(12着)を喫しているのが、昨年のこのレースなんですよね。原因は、スタートでつまずく不利があったこと。その影響が大きかったと思います。しかし、同馬は東海Sでもスタートでつまずきながら快勝しています。そのときの鞍上が、今回も手綱をとる名手・武豊騎手。再びつまずいても、多少のトラブルはリカバリーしてくれるのではないでしょうか。

 それよりも、今回気になるのは、JBCスプリント(11月3日/大井・ダート1200m)で逃げ切り勝ちを収め、ここに矛先を向けてきたコーリンベリー(牝4歳)の存在です。スプリントGIを勝つほどのスピードがある馬ですから、逃げを主張してくれば、先手をとるのはコーリンベリーのほうでしょう。そのとき、コパノリッキーは折り合ってレースを進めることができるのか、懸念されるのはそこです。

 フェブラリーSでも、2番手でうまく競馬ができていたので、それほど心配することではないかもしれませんが、前々走の日本テレビ盃ではハナを切りながらも、2番手の馬に終始外から被せられる厳しい展開となって、3着に沈みました。今回も、同様の競馬を強いられる可能性は十分考えられるだけに、コパノリッキーにとっては、コーリンベリーの出方が勝敗のカギを握りそうです。

 もしそれで、前が速くなる展開となったら、ノンコノユメに流れは向きそうです。しかし、前述したように、ノンコノユメにも心配な面があります。それは、改修後の中京ダートコースでは、追い込みがあまり効かないように感じるからです。

 以前は、直線が短かったため、それを意識して全体の仕掛けが早くなることが多々ありました。すると、4コーナーを回る頃には、各馬ともトップスピードを迎えて、コースが小回りな分、先行馬群は大きく外に膨らんでしまっていました。その際、仕掛けを遅らせた馬が内を突いて、早仕掛けで終(しま)いが甘くなった馬たちを、短い直線の中で豪快に差し切っていくシーンがよく見られました。

 ところが、コース改修後(2012年3月以降)は、4コーナーを回ってからの直線の距離が長くなって、坂も作られたのですが、意外と後方からの差し切りというのは、あまり見られなくなりました。ノンコノユメの決め手は強烈ですが、その点は嫌な材料と言えるでしょうね。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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