【競馬】オールカマーは、牝馬マリアライトで「大穴」狙い
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
GIシリーズに向けてのトライアル戦がスタートし、秋競馬も盛り上がってきましたね。今週も、今後の大一番への前哨戦となる、注目の重賞が東西で行なわれます。
関西では、菊花賞(10月25日/京都・芝3000m)トライアルの神戸新聞杯(9月27日/阪神・芝2400m)が開催されます。3歳牡馬最後の一冠を目指す戦いとあって、見応えのあるレースとなりそうです。
一方、関東では、古馬オープンのオールカマー(9月27日/中山・芝2200m)が行なわれます。こちらも、さまざまな路線からバラエティーに富んだメンバーが集結し、興味深い一戦です。ここから大舞台のGI天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)に向かう馬、中距離戦を狙ってGIIアルゼンチン共和国杯(11月8日/東京・芝2500m)へ駒を進める馬、また牝馬であればGIエリザベス女王杯(11月15日/京都・芝2200m)を目指す馬など、この先の目標もそれぞれ異なりますが、今後の行方を占う古馬トップクラスの戦いだけに、見逃せないレースとなります。
今回は、このオールカマーをピックアップしたいと思いますが、外回りの中山・芝2200mというコースは、内回りで向こう正面にも直線がある芝2000mと違って、直線が少ない独特なコース形態です。俗に「おむすび型(コース)」とも言われていますね。
その分、乗っている側の感触からすると、直線と言えるのはスタート直後と最後の直線となるホームストレッチぐらいで、あとはずっとコーナーを回っている感覚です。ゆえに、コース取りで外を走らされてしまうと、非常に厳しいですね。開催後半になって、馬場の内側が荒れてくれば、まくりなども決まりやすくなるのですが、開催序盤は内を通った馬のほうがかなり有利だと思います。それに、外に回されると、脚が溜まらないんですよ。
実際、同じコースで行なわれた先週のセントライト記念(9月21日)でも、ペースが遅かったこともありますが、外を回った馬はみんな凡走していましたね。やはり開催序盤とあって、内側は馬場状態がとてもいいのでしょう。
そんなコースで行なわれるオールカマーで、まず注目したいのは、牝馬のヌーヴォレコルト(牝4歳)です。
牡馬相手でも十分に勝負になることは、牡馬一線級と上位を争った前走の宝塚記念(5着。6月28日/阪神・芝2200m)や、強力牡馬勢を一蹴した中山記念(1着。3月1日/中山・芝1800m)ですでに実証済み。宝塚記念も5着に敗れたとはいえ、荒れた馬場の巧拙(こうせつ)と、展開に屈した印象で、決して力負けだったとは思いません。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。