【競馬】本命不在の3歳牡馬。今秋注目は「春に泣いた」実力馬 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 牡馬戦線にはもう一頭、クラシックの主役候補がいた。リアルスティールである。

 同馬も、デビュー戦を制したあと、2戦目で重賞の共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)で優勝。しかもこのレースでは、のちに二冠を達成するドゥラメンテを退けているのだ。続く皐月賞トライアルのスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)こそ2着に敗れるも、「負けて強し」の内容で、皐月賞直前にはサトノクラウンと同等の評価を受けていた。

 しかし、リアルスティールも皐月賞では完璧なレースを見せながら、ドゥラメンテの豪脚に屈して2着。ダービーでは、レース中の骨折の影響もあって4着に沈んで無冠に終わった。

 そんなリアルスティールだが、幸いにして骨折は軽度で済み、7月下旬には放牧先で乗り込みを再開。9月に入ってまもなくすると、同馬を管理する栗東トレセンの矢作芳人厩舎に入厩した。現在は最後の一冠、菊花賞に向けて調整が進められており、ドゥラメンテに代わる3歳世代の“エース”として期待を集めている。

 実際、矢作調教師は、リアルスティールの能力を高く評価し、周囲の期待に応える自信を見せているという。

「(リアルスティールは)本質的には中距離が合っているが、ドゥラメンテがいないここでは負けられない」

 近年では、一昨年のエピファネイアが、春の無冠(皐月賞2着、ダービー2着)から、菊花賞制覇を遂げて、秋に巻き返しを見せた。奇しくも、リアルスティールの鞍上は、エピファネイアと同じく、福永祐一騎手。リアルスティールが“主役”に復権してもおかしくない。

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