【競馬】天皇賞・春。本命キズナの調教師が語った「距離適性」 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 とはいえ、やはり気になるのは「絶好の状態」だったという大阪杯で、牝馬のラキシスに足もとをすくわれたこと。武豊騎手騎乗の断然人気馬(キズナ)が、クリストフ・ルメール騎手騎乗の伏兵馬(ラキシス)に敗れたシーンは、さながらキズナの父ディープインパクト(鞍上・武豊騎手)が3歳時の有馬記念(2005年12月25日/中山・芝2500m)で、当時GI未勝利のハーツクライ(鞍上・ルメール騎手)に敗れたシーンを彷彿させるものだった。

 指揮官は、その敗戦をどう見ているのか。佐々木調教師は、サバサバと振り返った。

「前走? うん、負けてしまったね。ただ、大阪杯は勝った馬がかなり強かった。昨年末の有馬記念(ラキシス=6着)とかも見て感じたけど、あの馬は相当強いですよ。それが、結果に出ただけ。キズナ自身、後方からいい伸びを見せましたから。ああいうのを、『すべてを飲み込む脚』と表現するんだろうね。(キズナが)能力を発揮していたのは、確かです」

 昨年、天皇賞・春を前にして佐々木調教師は、「この馬(キズナ)については、レースに出すからには、全部勝つつもり。ひと叩きとか、そういう意識は持っていません。大阪杯も、天皇賞も、凱旋門賞も、その点では違いはないんです」と断言していた。皮肉にも、それ以降の3戦は勝利から遠ざかっているが、決して勝利に向けての執念が薄れたわけではない。

「以前からそうだったけれども、この馬(キズナ)はレースに全力投球してしまうところがあるんです。ましてや、ダービー馬。どんなレースでも、無様なレースはできません。だから、先のことは、レースが終わってから。まずは無事に。目の前の一戦一戦が勝負という気持ちは変わりません」

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