【競馬】棋王・渡辺明が忘れられない「痛恨の日本ダービー」 (2ページ目)

  • 河合力●構成 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 僕は普段、競馬開催日には1レースから最終レースまで、余程のことがない限り、すべてのレースで馬券を購入します。それも、全競馬場のレースを買うので、3つの競馬場で同時開催する日は大変です。大して検討する間もなく、すぐに次のレースが始まってしまいますからね。

 そんな自分の馬券スタイルは、どちらかと言えば「本命党」です。将棋もそうなのですが、過去のデータなどを重視して、理詰めで結論を見出していくタイプなので、どうしても上位人気の馬で勝負することになります。具体的には、単勝オッズが6倍前後で、複勝オッズが2倍前後つく馬を買うことが多いですね。

 ところが、2013年のダービーは違いました。いつもなら手を出す、自分が得意とする"ゾーン"の人気馬たちに、不安材料が多かったんです。1番人気のキズナは、あまりに切れ味がすごいので、「2400mに距離が延びて、タフなレースになるのは、マイナスではないか」と思いました。皐月賞を勝ったロゴタイプも、血統的に距離延長には不安を抱えていましたし、同2着のエピファネイアは、折り合い面で課題がありました。

 そこで思い切って、13番人気のペプチドアマゾンを本命に据えました。キズナの2着に好走した前走の京都新聞杯(京都・芝2200m)では、速い流れを積極的に動いて2着に粘り込み。その競馬ぶりから、2400mへの距離延長がプラスに働くと見たんです。

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