【競馬】皐月賞でこそ生きる、本命サトノクラウンの「特性」 (2ページ目)
デビュー前のサトノクラウンが鍛錬を積んでいたノーザンファーム空港牧場(北海道苫小牧市)。同馬を担当していた犬伏健太調教主任は、当時を振り返りながら、サトノクラウンの性格をこう語った。
「普段扱っているときは、結構ワガママな面がありましたね。自己主張が強いというか......。決して真面目なタイプではありませんでした(笑)。走らせてみても、最初のうちはフワフワしたり、物見をしたりして、集中力がなかったですね。ただ、調教のペースが上がって馬が集中すると、動きが良くなって、スタッフの評価も上がっていったんです」
競馬での従順なイメージとは異なる、サトノクラウンの素顔。実はレースにおいても、その性格を見せたことが一度ある。東スポ杯2歳Sのスタート直前だ。
ゲートに入ったサトノクラウンは、暴れるかのように、何度も大きく立ち上がった。それを見た犬伏氏は、昔と変わらないワガママな姿に「やりやがったな、という思いでした」と苦笑いしたという。
それでも、ゲートが開くとサトノクラウンは無事にスタートを切り、前述のとおりに白星をもぎ取った。ゲート内で暴れたのは、平静を失って取り乱したわけではなく、あくまで自己主張のひとつだったのだろう。
デビュー後も気の強さは変わらないサトノクラウンだが、犬伏氏は「それがメリットになっているかもしれない」という。
「これまでの3戦は、どれも異なるレース展開でした。それに対応できたのは、あの馬の持つ性格のおかげかもしれません。気が強くて図太いからこそ、いろいろな変化に動じない気がするんです。また、弥生賞の前は、サトノクラウンの血統背景から『もしかすると、2000mは少し長いかも......』と思っていました。それが、あの勝ち方ですからね。こちら(牧場)でも見せていた図太さや、いい意味での集中力のなさが、レース中の無駄な消耗を抑えて、距離への対応を可能にしているのかもしれません」
2 / 3