【競馬】ルメール騎手の志「日本の馬で新たな歴史を創りたい」 (4ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text&photo by Niiyama Airo

――日本の競馬において、絶対に勝ちたい、というレースはありますか。

「日本ダービー(東京・芝2400m)、ですね。ダービーは、どの国でもいちばん重要なレースであり、最も注目されるレース。やはり日本でジョッキーになった以上は、いつか日本ダービーを勝ちたい」

――母国で開催される世界最高峰のレース、凱旋門賞(フランス・芝2400m)を日本の馬で勝ちたい、という夢もあるとうかがっています。その可能性は、どのくらいあると考えていますか?

「これまでも、日本の馬が(凱旋門賞で)勝つチャンスは何度かありましたが、どれもアンラッキーでした。特に惜しかったのが、エルコンドルパサー(1999年/2着)。凱旋門賞の前に、エルコンドルパサーがGIサンクルー大賞典(フランス・芝2400m)を勝ったときは、『なんて強い馬なんだ』って思いましたからね。ただ、この年の凱旋門賞には、モンジュー(アイルランド)がいました。モンジューと言えば、フランスでデビューして、フランスダービー(ジョッケクルブ賞)、アイルランドダービーを制した、ヨーロッパの“スーパーホース”“スーパーチャンピオン”です。これは、相手が悪かったと思います。あのとき、3着以下は5、6馬身離されていました。もしモンジューがいなければ、エルコンドルパサーの楽勝だったと思います。

 凱旋門賞は、確かに勝つのが難しいレースです。ポイントは、ロンシャン競馬場の馬場をこなせるかどうか。それさえ克服できれば、日本の馬にもチャンスはあります。それで、もし勝つことができれば、まさしく新たな歴史を切り開くことができるじゃないですか。僕は、日本の馬で、そういうすごいことをやってみたいんです」

――さて、予定よりも1カ月遅れになってしまいましたが、4月からはいよいよJRAジョッキーとして“デビュー”します。最後に、抱負をお聞かせください。

「これまで、日本の春のクラシックには乗ったことがなかったので、そこで、ひとつでもGIを勝つ、というのが当面の目標です。それと、ファンのみなさんがワクワクするようなレースをお見せしたいですね。いちばんの目標は、それです。何にしても、出遅れを挽回するためにも、最初から結果を出せるようにがんばります」

――ご活躍を期待しています。

クリストフ・ルメール
1979年5月20日生まれ。フランス出身。フランス競馬のトップジョッキーとして活躍。世界中で数々のGIを獲得してきた。日本でも短期免許を取得して高い手腕を発揮。これまでに重賞18勝(うちGI5勝)を挙げている。JRA通算245勝(3月24日現在)。

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