【競馬】高次元の弥生賞。重賞未勝利でもコメートが狙える理由

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 およそ1カ月後に迫ってきた春のクラシック。その舞台で上位争いが期待できる馬を管理する厩舎や主戦ジョッキーにとって、トライアル戦が始まる3月は、気持ちを引き締め直す時期と言えますね。

 今週は、本番と同じコースで行なわれるトライアルが東西で開催されます。桜花賞トライアルのチューリップ賞(3月7日/阪神・芝1600m)と、皐月賞トライアルの弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)です。

 各陣営の思惑はそれぞれあるでしょうが、牝馬の場合はすでに桜花賞の「本命」と言われる、ルージュバック(牝3歳)という大きな"目標"が存在します。同馬を負かすためにはどうすればいいか、どんな競馬をすれば勝てるのか、牝馬の有力馬を持つ陣営がトライアル戦で試みるのは、そんなところではないでしょうか。

 一方で、牡馬戦線にはルージュバックのような"目標"となる馬がまだ不在で、混戦模様です。レース番組の改革により、昨年の2歳戦から重賞が増設されて、重賞ウイナーが例年よりも多いことが、そうした様相に一層拍車をかけているような気がします。

 実際、弥生賞には7頭もの重賞勝ち馬が出走します。予想は難解を極めますが、かなり見応えのあるレースになりそうです。どの重賞のレベルが高かったのか、それを見極める意味でも見逃せない一戦となりますね。

 ちなみに、今後のトライアル戦にも有力馬が目白押し。スプリングS(3月22日/中山・芝1800m)には、2歳王者のダノンプラチナ(牡3歳)をはじめ、京成杯(1月18日/中山・芝2000m)の勝ち馬ベルーフ(牡3歳)と2着馬ブラックバゴ(牡3歳)などが参戦を表明しています。また、関西で行なわれるトライアルの若葉S(3月21日/阪神・芝2000m)には、2戦2勝のアダムスブリッジ(牡3歳)とキロハナ(牡3歳)、さらにきさらぎ賞(2月8日/京都・芝1800m)2着のポルトドートウィユ(牡3歳)が、そして皐月賞最終便となる毎日杯(3月28日/阪神・芝1800m)には、オルフェーヴルの全弟アッシュゴールド(牡3歳)が出走予定。どの馬も魅力ある素材で、例年に比べて粒ぞろいのメンバーがそろっています。そんな世代の頂点を決める皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)、さらには日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)が、今から楽しみです。

 さて、最初のトライアル戦となる弥生賞。最も注目しているのは、皐月賞と同じ舞台、つまりこの弥生賞と同じ舞台で行なわれたホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)の勝ち馬シャイニングレイ(牡3歳)です。

 同馬の走りには、デビュー戦から衝撃を受けました。最後の直線を持ったままで圧勝したのですが、単に持ったままではなく、いくらでも弾けそうな勢いを、まるで押さえ込んでいるように見えました。しかも、新馬戦ですから、まだ緩く見える体つき。それだけに、「いったいこの馬は、これからどれだけ強くなるのだろうか」と思いましたね。

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