【競馬】あのパカパカファームが充実施設を新設 (3ページ目)
“校内”には、まだ手を入れていない場所もあり、そのひとつが『給食室』。今後は、寮長や寮母さんを雇って、そこを食堂として使うプランを考えているという。事実、その傍らには研修生たちの部屋よりもグレードが高い“寮長室”がすでに完成していた。
また、学校に隣接して、もともと小学校の先生たちが寮として使っていた建物がある。そこは、「スタッフの環境を整えることは、牧場を作るうえでとても大事」と言うスウィーニィ氏の考えから、スタッフの独身寮として使用。何人かのスタッフたちがそこで生活を送っている。
スウィーニィ氏によれば、「ほとんど完成しました」というこの施設。以前は施設の名前について、『パカパカ道場』を候補に挙げていたが、「『パカパカ道場』はボツ。『パカパカキャンパス』にしようと思います」と教えてくれた。きっと『パカパカキャンパス』が、さらなる牧場の躍進に力を添えてくれるに違いない。
パカパカファームには、この他にも新しい設備が作られていた。それが、馬の診療所だ。
「この診療所はまだ出来たばかりです。ケガや病気になった馬たちは、ここで治療を行ないます。棚の中にはいろいろな薬や器具が入っていますが、ちなみにこの棚は、小学校の保健室にあったものです(笑)。全部リサイクルして使っていますよ」
パカパカファームにおいて、獣医としての役割を担うスタッフは、スウィーニィ氏を含めて2名。馬のケガや病気の状況に合わせて、より細かく対処できるようこの施設を作ったという。
牧場として軌道に乗っている現在でも、スウィーニィ氏はパカパカファームをさらに成長させるためのアイデアを日夜練っている。
「ダービーを勝てたのは、本当にうれしいこと。でも、あくまで『まだ1度だけ』というのが本音です。その後もクラリティシチーやクラリティスカイはがんばってくれていますが、では『10年後も牧場は安泰か?』と聞かれると、正直わからないですから。だからこそ、もっと牧場の中身を良くしたいんです。まだまだ『牧場として成功した』なんて、まったく思っていませんしね」
ダービー馬を輩出しながらも、長いスパンでみれば、牧場としての成功にはいまだ至っていないと考えるスウィーニィ氏。では、彼の考える「成功」のラインとは、いったいどこにあるのだろうか。次回は、パカパカファームの今後の目標を聞いていく。
(つづく)
ハリー・スウィーニィ
1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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