【競馬】朝日杯FS、最後の中山開催で武豊が奇跡を起こす

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2013年もあとわずか。12月15日に開催されるGIは、朝日杯フューチュリティステークス(以下、朝日杯FS)です。1984年にGIとなってから30年、中山・芝1600mというトリッキーなコースで行なわれる、暮れの名物GIとして親しまれてきましたが、中山競馬場で行なわれるのは、今年が最後。少し寂しい感じがしますね。

 それでも、来年から舞台となる阪神の芝マイル(1600m)は、広くてクセのないコースで、成長過程の2歳馬にとっては好条件。東西の実力馬が顔をそろえれば、大いに盛り上がるでしょう。また、中山では、年末に行なわれている2歳オープンのホープフルS(芝2000m)が、来年から重賞(GIII)となり、そのうちGIに格上げされると聞いています。そちらも、新たな"暮れの名物GI"になっていくことを期待したいですね。

 それはさておき、中山で開催される最後の朝日杯FS。まず注目は、地方競馬(川崎)在籍のプレイアンドリアル(牡2歳)です。異色の存在ですが、前走で見せたパフォーマンスから、中央の一線級相手でも十分勝負になるどころか、トップクラスの力があることを証明しました。

 その前走というのは、例年2歳馬のクラシック候補が集う、東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)でした。今年もレベルの高いメンバーがそろう、同レースを選んで使ってきたこと自体、陣営のプレイアンドリアルへの期待の高さがうかがえました。そしてその期待どおり、プレイアンドリアルは2着と好走。今年の2歳世代の出世レース、新潟2歳S(8月25日/新潟・芝1600m)2着馬のイスラボニータ(牡2歳)にクビ差およびませんでしたが、勝ちに等しい内容でした。

 というのも、勝ったイスラボニータはレース展開に恵まれた面があったからです。同馬はインでうまく立ち回り、直線では最内コースが運良く開いたことが功を奏しました。一方で、プレイアンドリアルは正攻法の競馬で勝ちにいってのもの。これは、地方所属のプレイアンドリアルにとっては「朝日杯FSに出走するためには、最低でも2着をとらなければいけない」というルールがあるためで、イスラボニータとは「立場の違い」がありました。その分、プレイアンドリアルのほうが強さを感じましたね。

 今回、舞台は東京・芝1800mからトリッキーな中山・芝1600mに変わります。速い流れになりやすいコースでもあり、その対応がカギになりますが、プレイアンドリアルは前走でもゴール直前で差し返す脚を見せていました。その勝負根性とパワーは、中山の最後の急坂を力強く駆け上がってくるイメージに通じます。厳しい流れを好位で進みながら、終(しま)いもきっちり伸びてくる競馬ができそうです。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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