【競馬】若き「女傑」ハープスターは絶対的な存在なのか

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋のGIシリーズも残り3戦となりました。12月8日に行なわれるのは、阪神・芝1600mが舞台となる、阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF)。2歳牝馬による「女王決定戦」です。

「女王」と言っても、キャリアの浅い2歳の若駒牝馬。例年は「人間で言えば、小学生か中学生の運動会のようなもの」といったレベルで考えていました。しかし今年は、ちょっと様子が違います。なにしろ、函館、新潟、小倉、札幌と、夏の2歳重賞(混合)4レースをすべて牝馬が制覇。その4頭が皆、今回顔をそろえるからです。

 函館2歳S(7月21日/函館・芝1200m)は、軽快なスピードを秘めるクリスマス(牝2歳)が制し、不良馬場で行なわれた札幌2歳S(8月31日/函館・芝1800m)は、レッドリヴェール(牝2歳)が快勝しました。1997年に距離が1800mに延長されてから、札幌2歳Sで牝馬が勝利したのは初めてのことです。

 そして、小倉2歳S(9月1日/小倉・芝1200m)を勝ったのは、ホウライアキコ(牝2歳)。彼女はその後、牡馬混合重賞のデイリー杯2歳S(10月5日/京都・芝1600m)まで制し、牡馬を含めてもトップクラスの力があることを実証しました。

 さらに、圧巻だったのは、新潟2歳S(8月25日/新潟・芝1600m)を驚異的な末脚を披露して差し切り勝ちを収めたハープスター(牝2歳)。特に、同レースで楽に負かしたイスラボニータ(牡2歳)が、そのあとのいちょうS(10月19日/東京・芝1800m)、重賞の東京スポーツ2歳S(11月16日/東京・芝1800m)と連勝。新潟2歳Sのレースレベルはもちろん、ハープスターの実力の高さを一層印象づけました。

 まさに今年の阪神JFは、「2歳女王」というより「2歳チャンピオン決定戦」とも言えそうなメンバー構成で、史上稀(まれ)に見るハイレベルな一戦になりそうです。

 そんな中、注目はハープスターです。

 新潟2歳Sは、レースの時期やコースの特性上、昨年のザラストロをはじめ、2009年のシンメイフジ、2005年のショウナンタキオンなど、大外一気で勝つ馬がしばしばいます。そして、そのインパクトのある勝ち方から、彼らは皆、その時点では「クラシック候補」と称されますが、その後はどの馬も泣かず飛ばず......。

 そうした例を踏まえて、ハープスターも当初は新潟2歳Sの勝ちっぷりだけで評価するのは禁物だと思っていました。しかし、同レースで敗れた面々の、その後のレースぶりを見て、考えを改めざるを得ませんでした。

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