【競馬】「2強」に不安あり。
有馬記念はルルーシュが大波乱を引き起こす!
有馬記念に向けて順調に調整されてきたルルーシュ。元ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
一年は早いもので、もう有馬記念(12月23日/中山・芝2500m)のときがやってきました。
有馬記念というと、「ホースマンの夢」であるダービーや、「古馬の頂点を決する」天皇賞とはまた違って、一年の締めくくりとしての重みがあります。3歳馬を含めたその年のナンバー1を決める一戦で、昨年はオルフェーヴルvsブエナビスタ、一昨年は"最強世代"と言われた3歳馬vsブエナビスタなどと、その年によってテーマもあります。
JRAのテレビCMでは、1977年のテンポイントvsトウショウボーイの対決が取り上げられています。実はこの年、僕が当時騎手養成所のあった馬事公苑に入った年でした。授業の一環として競馬場に行って、有馬記念もライブで見ていました。僕が知っている中でも、最少頭数(8頭立て)の有馬記念で、スタートからゴールまでずっと2頭のマッチレースでした。その光景はとても不思議なもので、まさに「戯れにもみえた。死闘にもみえた。」というコピーそのもの。それを目の当たりにしているオールドファンにとっては、たまらないCMなのではないでしょうか。
さて、今年の有馬記念ですが、「3歳馬を含めたその年のナンバー1を決める一戦」と言いながら、事実上のそれは、先日のジャパンカップで演じられてしまいました。そして、その現役ナンバー1とナンバー2と言えるオルフェーヴル(牡4)とジェンティルドンナ(牝3)は出走を回避。「横綱不在」の有馬記念と言えそうです。
ただ、横綱不在とは言っても、勝てば横綱に昇格できる大関クラスの馬はいます。クラシック二冠(皐月賞、菊花賞)を制したゴールドシップ(牡3)と、今春香港のGIクイーンエリザベス2世カップを制し、国内では未冠ながら宝塚記念2着、天皇賞・秋、ジャパンカップは3着と、いつGIを勝っても不思議はないルーラーシップ(牡5)です。
それぞれタイプは違いますが、課題はスタートです。
まずゴールドシップは、勝った皐月賞も菊花賞も好スタートを切っており、ゲートにはそれほど不安はありません。しかし鞍上の意図とは逆に、スタート後の位置取りは常に後方になってしまいます。前走の菊花賞でも、実況のアナウンサーが「スッと下げます」と言っていましたが、鞍上の手綱は必死に動いていました。本当は、好位につけたかったのだと思います。
それでも前に行けない理由は、器用な小足が使えないのだと思います。車で言えば、1速ではなく2速から発進しているようなイメージです。ゆえに、加速するまでに時間が掛かって、位置取りが悪くなってしまうのでしょう。
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