【競馬】「荒れる」アルゼンチン共和国杯。波乱の主役はルルーシュ (2ページ目)

 重量を背負うとはいえ、注目すべきはやはり実績のある馬です。往年の勢いほどではないにしても、前走の京都大賞典で力のあるところを見せたオウケンブルースリと、GI勝ちはありませんが、重賞で好成績を残しているギュスターヴクライの2頭は、勝ち負けできる有力馬と見ています。

 オウケンブルースリは、4年前(2008年)の菊花賞馬で、翌年のジャパンカップではウオッカとハナ差2着という激戦を演じています。実績だけ見れば、断然の存在です。さすがに決め手や反応などは、ピーク時と比べると劣るかもしれませんが、昨年もこのレースで2着に来ているように、GⅡのメンバーなら上位の存在と見るべきでしょう。

 ギュスターヴクライは、まさに今が旬の4歳馬。相手が逸走したとはいえ、あのオルフェーヴルに土をつけたのは事実です。そして「勝つ」ということは、馬にも自信になるのです。GIを勝っていないにもかかわらず、58kgを背負わされるのは、陣営としては納得のいかないところでしょうが、ハンデキャッパーがそれだけ能力を高く評価しているということ。それこそが、能力がある証拠です。

 この2頭に迫る勢いがあるのは、ムスカテール(牡4歳)。右回りではどうも決め手を欠きますが、左回りでは鋭い切れ味を見せています。陣営も3走前からは左回りにこだわってレースを選択しているようで、東京競馬場で行なわれる今回も十分に可能性があると思います。負担重量55kgで、引き続き鞍上が内田博幸騎手というのも好材料でしょう。

 さて、肝心の「ヒモ穴馬」ですが、前走オールカマーで敗れた(4着)ことで意外と評価が下がっている、ルルーシュ(牡4歳)を指名したいと思います。

 前走は道悪だったこともありますが、馬体重がプラス10kg。その数字が示すとおり、やや太めだったことが敗因だと思います。最後の直線の坂下で、鞍上の横山典弘騎手が「GO」のサインを出したとき、一瞬反応しかけたのですが、伸びを欠いていました。あの反応の鈍さ、そしてゴールまでの走りを見る限り、いかにも「休み明け」という感じでしたね。

 ああいう走りのあとは、叩いた効果が相当見込まれます。ルルーシュが上位に食い込むチャンスは決して小さくないと思います。人気が割れるレースなので、どの程度の人気になるかはわかりませんが、ルルーシュの激走に期待したいところです。

  大西直宏(おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。騎乗技術には定評がありながら、なかなか日の目を見ることがなかったが、1997年にサニーブライアンと出会って飛躍。皐月賞を11番人気で制して初のGI勝利を果たすと、続くダービーも6番人気ながら見事に逃げ切り勝ちを収め、ダービージョッキーの称号を手にした。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍しながら、育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務めている。

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