【競馬】大外枠も不問。揺るがぬオルフェーヴル陣営に見た、凱旋門賞制覇の現実味 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 もちろん、強力なライバルの回避はオルフェーヴルにとっては追い風であるが、逆を言えばそれだけ他馬のマークが集中してきつくなる。また、勝ったとしても、のちに「空前の低メンバー」などと揶揄(やゆ)されては折角のタイトルの輝きも曇ってしまう。

 結局、現地時間10月4日、午前10時の最終登録では、三冠のかかった英セントレジャーに敗れたことで一旦は回避を匂わせた今年の英国二冠馬キャメロット(牡3歳/アイルランド)が、一転して出走の意向を表明。加えて、今年のフランスダービー馬でフォワ賞と同じ日に行なわれた3歳のステップ競走、ニエル賞(GⅡ)を勝ったサオノワ(牡3歳/フランス)や、今年の愛オークス馬であるグレートヘヴンズ(牝3歳/イギリス)が追加登録で出走の見込みとなり、空前とまではいかないまでも、好メンバーがそろうことになった。特にキャメロットは、英セントレジャー前までは凱旋門賞の前売りオッズで断然の1番人気だったし、サオノワもブックメーカーのオッズで3番人気に位置づけられた有力馬だ。オルフェーヴルの相手にとって不足はない。

 だが、オルフェーヴルを管理する池江泰寿調教師は、有力馬の動向に振り回される周囲とは対照的に、その動向を意に介さない。

「これまでのレースでも、相手を気にしたことはありません。今回もオルフェーヴルに集中して、万全の状態でレースに備えます」

 力そのものに疑いはない。正しくオルフェーヴルを導けば答えは自ずと出てくる。勝負の行方は、自信を確信にいかに変えられるか――。

 状態面は申し分ないという。前走のフォワ賞のレース後に、同じく休み明けだった去年の神戸新聞杯(1着。2着に2馬身半差の完勝)と同じくらいながら、「これでは本番では足りない」と語っていた池江調教師。その点については、日を改めてこう分析していた。

「オルフェーヴルにとって初めての海外遠征であることに加えて、『これだけの馬だから......』と大事にし過ぎて、(調教を)セーブしてしまっていました」

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