【競馬】スプリンターズS、女王・カレンチャンに立ちはだかる「壁」

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

今年3月の高松宮記念を快勝し、2度目のGI勝利を飾ったカレンチャン。今年3月の高松宮記念を快勝し、2度目のGI勝利を飾ったカレンチャン。 昨年10月のスプリンターズステークス(以下、スプリンターズS)、そして今年3月の高松宮記念と、中央競馬にふたつしかない短距離(芝1200m)GIを連覇したカレンチャン(牝5歳)。普通に考えれば、今年のスプリンターズS(9月30日/中山芝1200m)は当代のスプリント女王として挑戦者を迎え撃つ立場だが、同時に挑戦者としての立場も併せ持つ。これまでに、日本では誰も成し得ていない、スプリントGI3勝という大きな山へのアタックだ。

 高松宮記念以来の復帰戦となったセントウルステークス(以下、セントウルS/9月9日、阪神芝1200m)に出走したカレンチャン。前走比22kg増と大幅な馬体増に加え、道中もマジンプロスパー(牡5歳)と競り合いながら逃げるような形になったものの、勝ったエピセアローム(牝3歳)から0.1秒差の4着と、秋シーズンのスタートは上々の滑り出しを見せた。

「体は増えましたが、ほとんどが成長分。その後の調整も順調で、いくぶんかあった馬体の余裕も絞れています」(競馬専門紙記者)と連覇に向けて抜かりはない。これが、国内ではラストランになることをオーナー夫人も明言しており、有終の美を飾るために、万全の状態で本番を迎えられる態勢を整えられそうだ。

 しかし、自身の状態が万全であっても、競馬には当然ほかの要素が絡まる。

 まず歴史という"壁"が立ちはだかる。

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