松山英樹がマスターズ優勝。圧巻の「しのぐプレー」で新たな歴史を刻んだ (3ページ目)

  • text by Sportiva
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「ムービングデー」と言われる3日目、これまでの松山はなかなか爆発することができなかった。しかし今年は、マスターズ自己ベストの「65」をマーク。他がスコアを伸ばせずにいるなか、ほぼ松山だけがムービングデーを実演。通算11アンダーまでスコアを伸ばし、後続に4打差をつけて単独首位に立った。

 それでも松山は、中継局のインタビューでは舞い上がることなく、淡々とコメントした。

「前半はバタバタして、パットも決め切ることができなかったんですけど、(サンダーストームによる)中断のあとでグリーンのスピードが落ちて、13番で3パットをしたあとから(気を引き締めて)いい感じで(パットを)打てるようになった」

 迎えた最終日も、緊張した雰囲気を見せずに安定したプレーを披露した松山。出だしの1番でボギーを叩くも、2番でバーディーを奪ってリズムを取り戻した。以降、3日目までと変わらぬ、卓越したアプローチとパットでスコアをまとめた。

 とりわけ、4番、5番のパーセーブはすばらしかった。首位と2打差の3位タイで最終日を迎えた2016年は、序盤で崩れて早々に優勝争いから脱落した。当時とは、松山のプレーする姿からにじみ出る"気持ちのゆとり"が明らかに違った。

 その後、15番パー5でセカンドショットが大きくオーバー。池に落としてボギーとして、16番でもボギーを叩いて苦しい状況に陥った。さすがに簡単には勝たせてもらえなかったが、優勝争うライバルも終盤にミスが出てスコアを伸ばせず、松山が通算10アンダーで勝利。10回目の出場で、念願のグリーンジャケットに袖を通した。

「今日は朝からずっと緊張していて、最後まで緊張しっぱなしだった。(周囲からの期待は)あまり考えないようにしていたんですけど、(結果的に)いいプレーを見せられてよかったです」

 ウイニングパットを決めたあと、はにかんだ笑顔を浮かべてパトロンの祝福に応えた松山。日本のゴルフ界の歴史を変えた。

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