渋野日向子、メジャー制覇へのカギは? 村口史子が見た昨季と2021年の可能性 (3ページ目)

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 そして、「もはや、そんなことを言っている場合じゃない」「もう一度、チャレンジャーとして、がんばろう」――そう思ったら、前向きになれた。それまでは、「あ~、ダメだ」「今やっていることが間違っているんじゃないか」という思いもあったかもしれませんが、世界最高峰のツアーで戦って、いろいろなことが吹っ切れたんだと思います。

 その後は、日本ツアーでも上位に顔を出すようになって、全米女子オープンでは最終日をトップで迎えました。最終的には4位という成績に終わりましたが、海外メジャー2勝目まで、あと一歩というところまで復調しました。

 ショットなどの技術的なもの、すなわちゴルフ自体が、短期間でガラッと変わることはありません。大きかったのは、やはり気持ちの変化。その切り替えができたこと。加えて、アメリカツアーを戦うなかで経験し、吸収したものを自らの糧とし、その後のゴルフに生かしてきた。そうした、一つひとつの積み重ねが、自信を取り戻す要素になったのではないでしょうか。

 今後の海外メジャーでの可能性? もちろんチャンスはあると思います。

 そのためには、飛距離を伸ばすことも重要。ショートゲームなど、いろいろな技術をさらに身につけることも大事になると思います。ただ、飛距離だけを見て、自分を見失うことがないようにしてほしい。いいところを伸ばすことも大切です。

 他にポイントとなるのは、「過程がどうであれ、最終日にいい結果を出さなければ意味がない」と渋野選手も言っていたように、最終日にどんなプレーができるか。優勝を争うギリギリの戦いのなかで、どれだけ集中力を高められるか。特に韓国人選手はそのあたりがすばらしい。

 技術的に大切なこともいろいろあると思いますが、最終日の上がりで、どれだけ強気になれるか、どれだけ集中できるか。そこが、メジャー制覇へのカギになると思います。

 課題のショートゲームにおいては、ボールを上げるアプローチが向上するといいでしょうね。渋野選手はアドレス時に手首をロックさせている感じなので、もう少し手首を柔らかく使えるといいかな、と思ったりはします。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る