【木村和久連載】関係者の努力に感服。女子プロツアーがついに再開! (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 けど、なかなか話がまとまらないのは、ゴルフのプロトーナメントには特殊な事情があるからです。各トーナメントには必ず冠スポンサーがついており、そのトーナメントスポンサーの賛同を得られない限り、試合を開催することができないのです。

 たとえば、プロ野球はNPB(日本野球機構)が仕切って、試合のスケジュールなどを決めますよね。ゴルフも、女子プロならJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)がトーナメントのスケジュールを決めますが、その際、その試合にお金を出してくれるスポンサーの同意も必須。つまり、スポンサーにお伺いを立てないと、話が進まないのです。

 というのも、ゴルフのトーナメントは、スポンサーの宣伝活動、広報活動、企業イメージアップのための、社会貢献活動でもあるからです。

 とすれば、もし最初に試合を再開し、万が一にでも新型コロナウイルス感染者が出たら、大変です。スポンサーは「試合を強行した」などと言われて、逆にマイナスイメージがついてしまう可能性があります。そのため、トーナメントの開催に向けて、どこも尻込みしてしまうのは、仕方がないのです。

 トーナメントの開催費用は、おおよそ賞金総額の3~5倍と言われています。今回のアース・モンダミンカップは別格ですが、通常の女子トーナメントであれば、賞金総額は6000万円~1億円ぐらいで、ざっと2億~5億円ぐらいでしょうか。会場の設備費、大会運営の人件費、テレビ放映などを考えれば、たしかにそれぐらいのお金はかかりそうです。

 一方で収入は、4日間の通しチケットを1万円で1万人に売れたとしても、1億円。お金は出ていくばかり。すごく成功した試合であっても、どうしても赤字になります。もちろん、それは宣伝費ですから、持ち出しで構わないのですが。

 ただ、今や"コロナショック"で業績が振るわない企業もあるし、現状では宣伝しづらいという企業もあります。

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