有村智恵が持つ「危機感」。自らの戦いとゴルフ界の発展のために... (3ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 つまり、有村がもう一度、自らが最も輝いていた20代前半の頃のようなプレーをしたいと思っても、そのハードルはかなり高いと言わざるを得ない。昨季、未勝利に終わってしまったことも、それを物語っている。

 とはいえ有村は、ギリギリの緊張感の中で戦っていた"スリル"をもう一度、味わいたいのだ。

「今思うと、やっぱりプレッシャーのある試合が一番楽しかったです。本当にキツいんですけれども、最近の戦いの中で感じているプレッシャーよりもずっといい。現在は、予選通過を争う場所で集中力を切らさずに戦わなければいけないプレッシャーばかりですから、ずっとモヤモヤしているんです。

 今年は、以前のような(プレッシャーを感じる)場所に行きたい、という気持ちを持って、すべての試合に臨みたい。そういう気持ちで挑むことで、やっぱり楽しさも出てきますから」

 ところで、有村は「日本の女子ゴルフ界をもっとよくしたい。盛り上げたい」という思いも強い選手だ。自分の目で見て、感じてきた米ツアーのいい部分を、日本の事情に沿った形で還元できないか、選手の立場で常に考えてきた。

 2019年には、日本女子プロゴルフ協会の選手会にあたる『プレーヤーズ委員会』の委員長を務め、協会のスタッフ、選手、関係者たちと、さまざまな意見交換も行なっている。有村が語る。

「この10年で(日本の)ゴルフ界を取り巻く環境がどんどん変わってきていることを実感しています。外から見ると、確かに女子ゴルフ界はすごく盛り上がっているように見えますが、ゴルフ業界全体でみると、ゴルフ愛好者の減少も含めて、経済的にもどんどん厳しくなっていると感じることがあります。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る