【木村和久連載】プロを震え上がらせた設計。鬼才ピート・ダイを偲ぶ (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 スコットランドには、ロイヤル・トゥルーンGCの8番ホール、『ポステージ・スタンプ(郵便切手)』の異名を持つ(それほどグリーンが小さく見えて難しい)ショートホールに代表されるような、短くても最難関と言われるホールが結構あります。

 そのアイデアを飛躍させて、ピート・ダイが作ったのが、アイランドグリーンです。「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権の舞台となる、TPCソーグラスの17番(パー3)グリーンは、周囲がぐるりと池に囲まれて、150ヤードにも満たない距離ながら、プロ選手たちを震え上がらせます。これが、彼の設計の真骨頂でした。

 けどね、彼はそれほどアイランドグリーンが好きなのか? というと、そうでもない。あのデザインが当たって、たくさんのリクエストが来たから、他にも作ったまで。

ピート・ダイと言えば「アイランドグリーン」ですが、ここまで難儀なものはないかと...ピート・ダイと言えば「アイランドグリーン」ですが、ここまで難儀なものはないかと... 彼の設計の原点は、スコットランドのリンクスです。だから、自分が設計した日本のコースでは、オーソドックスな「メイプルポイントゴルフクラブ(山梨県)が一番好き」と、言っていたんですな。

 前述のとおり、このコラムでは以前にも、そんな話とともに、井上誠一との共通点について綴っていますが、今回また、新たにピート・ダイと井上誠一の共通点を発見しました。

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