渋野日向子と大谷翔平との共通点。メンタルトレーナー「自然体を強く感じる」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 それは、たぶん無意識的にやっているんだと思いますが、だから、才能はありますよね。技術の才能、体の才能があるのはもちろん、メンタルマネジメントの才能もおそらくある。ただそれを、再現性を持って表現できるマネジメントスキルがないと、長く一流でいるのは難しい。その評価はまだできない、ということです。

 それを考えると、本当はメンタルトレーニングを受けたほうがいいと思います。今まで感覚的にやっていたことがスキル化されますし、無意識的にやっていることが整理されて、再現性も高いレベルで維持できるようになりますから。

 若い頃に大きな大会で勝ったあと、なかなか勝てなくなった人がもう一回復活したり、のちにレジェンドと呼ばれる名選手にまでなったりすることがありますが、それはメンタルマネジメントの重要性に気づき、スキルを自分のものにしていった人たちです。

 どういう原因や仕組みでドライバーショットが曲がってしまうのかを、コーチがわかっているのと同じように、メンタルの専門家が脳や心の仕組みを教えてあげることで、どうして心が揺らいだり、囚われたりするのかに気づくことができる。それにしっかりと気づいて、「だからだよね」って自分で直せるほうが、フローの状態の再現性は高くなります。

 やはり、感覚だけでフローを保つのは、いずれ難しくなる可能性はある。なので、チャンスがあれば、それをどこかで整理できるといいなと思います。メンタルトレーニングをやらなくても、違う分野で苦労を乗り越え、成功している人の本を読むのもいい。本を読むだけなら、自分の参考になるかどうか、自分で取捨選択できますしね。

 いずれにしても、そういうことに興味を持つときが来ると思います。それが、今年なのか、来年なのかはわかりませんが、本を読んだりして、思考を整理する習慣づけはしておいたほうがいいと思います。

 もちろん、渋野さんに一流のアスリートの資質はあるのかと言われれば、必ずある。なかったら、全英では優勝できない。まぐれはないと思います。その後の様子を見ていても、現段階で一流とは言えなくとも、一流の要素は持っていますよね。

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