挫折もカラッと乗り越える。東京五輪女子ゴルフの主役は98年世代 (3ページ目)

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 ルーキーイヤーでいきなり2勝を挙げた比嘉真美子も、その直後からスイングに悩み、なかなか勝てない時期が続きました。彼女はアマチュア時代から、ゴルフ人生の設計を緻密に作っていましたが、それがズレてしまったことで、ドロ沼にはまった可能性があります。

 それでも、比嘉は見事にスランプを脱出。最近はメンタル面も強くなって、素晴らしい活躍を見せていますが、こういう選手は稀(まれ)です。男子に比べて、女子選手はなかなかスランプから抜け出せないことが多いです。

 女子選手の場合、肉体の成長過程によって、今までのスイングが合わなくなるということも、つまずくポイントのひとつです。それまで真っ直ぐ飛んでいたドライバーが曲がる、ずっと入っていたパターが入らなくなる......など、うまくいっていたことがうまくいかなくなる。

 そこで、「昔はよかったのに、なぜダメなんだろう?」と迷い始めると、どんどんドツボにハマっていくことになります。

 そんなとき、以前なら「何をやっているんだ!」「がんばれ!」と、精神論で選手を鼓舞する指導者が多かったと思います。もしくは、「インに入りすぎているから、クラブをもっとアウトから......」などと、事細かくアドバイスする指導者もいたことでしょう。しかしそれでは、自ら考える力を養うことができず、言われたことを言われたとおりにやるだけの"ゴルフロボット"になりかねません。

 かつてアメリカでは、大学のコーチの言うとおりに練習をして強くなった選手がたくさんいました。ただ、そういう選手たちは皆、アマチュアでは好成績を残していたものの、プロになってから一向に成長することができませんでした。そうした時代もあって、今のアメリカでは選手自身に考えさせる、ということに重きを置いています。

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