挫折もカラッと乗り越える。東京五輪女子ゴルフの主役は98年世代 (2ページ目)
そうした状況にあって、『黄金世代』のライバルは、まずは自分自身といっていいかもしれません。
現在、20歳前後の彼女たちはある意味、挫折知らずで今日まできている選手が多くいますが、近いうちに必ず"壁"に当たります。
たとえば、勝みなみはアマチュア時代、何も考えずにプレーしていても、いいスコアが出ていました。しかし、プロになって上位進出はできても、なかなか勝てません。「どうして勝てないのか?」と考えるゆえ、迷いが生じるからです。
また、アマチュア選手の多くは、学校と家と練習場の3カ所だけが"世界のすべて"といった生活を送っていきます。しかも、練習場や試合会場に行く際は、両親などに送迎してもらって、競技だけに集中することができます。
しかしプロになると、嫌が応でも"世界"は広がり、見える景色も変わって、周囲からはさまざまな声が聞こえてくるようになります。
ゴルフのプレーにしても、それまでは深く考えることなく、ガムシャラにプレーするだけで、それなりの成績が残せたとしても、プロではそうはいきません。プレーの引き出しを増やし、自分で考え、判断し、決断しなくてはいけないことが急激に増えます。
そこを乗り越えないと、プロでは勝てません。頭を使うゴルフをどのタイミングで覚えるか――とりわけ女子の選手にとってはそれが、プロになってから"大きな壁"として立ち塞がります。
怖いのは、ある意味で挫折をしたことがない若い世代は、それをどう乗り越えるかを知らないということです。ゴルフエリートたちは、一度失敗すると、人生の終わりのように感じるものです。
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