不安の中で得た2度目の栄冠。松山英樹は「この1勝で激変する」 (5ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 決して万全な状態ではなかった。松山はずっと不安を抱えていた。にもかかわらず、米ツアーで2度目の優勝という快挙を遂げた。こうなると、いよいよ日本人初のメジャー制覇という期待も高まってくる。ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏は、その可能性についてこう語った。

「今回の優勝では、松山自身がやろうとしてきたスイングと、それに伴う肉体的なものが、試合でもだんだんとうまく出せるようになってきた、というのが大きい。これまでは、練習ではできても、いざと言うとき、例えば優勝争いでプレッシャーがかかったときには、昔のスイングの癖とかが出てしまっていた。体の向きであったり、構えであったり、何かしらね。それが出ないように、ずっと我慢して、一生懸命練習してきて、今やっと求めてきたスイング、体の使い方が自分のモノになりつつある。それで、結果が出た。

 これは、本当に大きなこと。プロにとって、自分がやりたいことができて、結果が出るということは、一番いいことだから。もちろん本人的には、まだ満足できなかったり、半信半疑だったりする部分はあるだろうけど、これまで我慢してやってきたことが実を結んだわけだからね。『これでいいんだ』という自信にもつながったはず。ということは、新たな指針というか、次のステップに向かうことができる。今回の優勝で、間違いなく松山は変わる。もともと勝てるポテンシャルは持っているわけだから、メジャー大会制覇への期待もすごく膨らむよね。下手をすれば、マスターズの前にももう1勝くらいする感じがするし、それだけの勢いが松山にはついたと思う」

 またひとつ階段を上がった松山。今季メジャー第1弾のマスターズ(4月7日~10日/ジョージア州)では、どんなプレーを見せてくれるのか。その日が来るのが待ち遠しい。

ゴルフ記事一覧>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る